テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

名鉄西尾線・名鉄蒲郡線:蒲郡市で「市民まるごと赤い電車応援団」が発足した後に、蒲郡線の普通列車に乗ってみた。


先週(10月18日)、名鉄西尾線と同蒲郡線を全線乗り通した。
以前から時々西尾線及び蒲郡線廃線に関する話題を当ブログで出していたのだが、自分の目で乗降人数とか駅周辺の様子とか確かめないことには、何を書いても全部憶測の域を出ない。それで何とか10月中にはと考えていた。だがふと気がつけば小牧基地航空祭岐阜基地航空祭、そして前回で出した名駅5丁目地区での「山車曳き回し」に行っていて、結局いつもの通り「一番やるべき事」は後回しにしてしまっていた。まぁ、自分のやるこったぁいつもこんなもんだ。
それはさておき、駅で「まる乗り1dayフリーきっぷ」を買って金山駅まで名鉄線で移動した。金山駅から特急豊橋行きに乗り換え、新安城駅で11時37分発普通西尾行きに乗り換えた。西尾止まりでは吉良吉田駅まで行けず、結果的に後続の急行吉良吉田行きに乗り換えることになったのだが、そこら辺の事情は置いておく。


結論として、「西尾線蒲郡線乗り通し」で分かったことは以下の通り。

  • この時乗った列車に関して、各区間における乗降人数は概ね
  • 区間において、駅周辺に「積極的な利用」を呼びかける垂れ幕や幟、ポスターなどの掲示は確認できず。

利用状況云々については、正確に乗降人数をカウンターを使って記録していたわけではないし、平日にも乗った上での話ではないから、あくまでも「参考程度」以下にしかならない。だいたい、日曜の昼間ってのは名古屋本線を除いて利用者数は少ない*1からね。それよりも問題は一番最後、「積極的な利用」を呼びかける幟や横断幕どころかポスターすら貼ってある様子が見られなかったこと。しかも蒲郡市内にある市役所形原出張所にも。

日曜の昼間とはいえ、西尾駅前のこの閑散さには愕然……。


まずは西尾駅前。

  • ユニーから店名変更したピアゴ西尾店(?)、そして駅構内にはパレマルシェがある。パレマルシェ1階は意外に客がいた。
  • 西尾駅前ロータリーを見渡す限り、積極的な利用を呼びかける横断幕やポスターといった類は見つけることが出来ず。
  • 改札口の向かい側には観光案内所があったが、そこの入り口にもそれらしきポスターは貼られていない。
  • いくら日曜の昼12時とはいえ、広場前の人通りが少なすぎやしないか?

人通りの少なさはともかく、西尾駅前の観光案内所にも駅前広場にも幟や横断幕はおろかそれらしきポスターが貼られていない。これはどうなのよ、と心の中で首を捻りつつ、次の急行で吉良吉田駅へ向かった。
ちなみに西尾市では、市内各所と西尾駅とを結ぶコミュニティーバス「六万石くるりんバス」を運行している*2。本数が2時間に1本とはこれまた不便なものを作ったな……と思ったら、正周りと逆周りの2本が交互に運行していることが分かった。うわぁ、何だか勿体ない気もするんだが……。条件付きだが乗継割り引き*3も導入されているし、利用者が増えればどこか1系統ぐらいは1時間に正逆各1本ずつって体制になるかもしれない。

吉良吉田駅発蒲郡行き普通……乗客はでら少ないがや、こどもの国駅までは。


西尾駅から乗った急行吉良吉田行きは吉良吉田駅に到着した。乗り換え改札口を経由して蒲郡行き普通ワンマン列車の待つホームへ。乗客は案の定、2両編成に20人も乗っていなかった。発車する前にかつて繋がっていた碧南方面への線路を撮影した。線路はホームの先で途切れていた。一色まで続いていれば、と思うのは私だけか。そうだ、ワンマン改造車は数が少ないんだった。撮影しておかないと。


発車してからしばらく駅での乗り降りの様子を見ていたが、こどもの国駅までは本当に乗る人も降りる人も一ケタ台だった。ところが西浦駅に着いたら10人近くが一気に乗ってきた。
蒲郡市では市内の各団体により結成された蒲郡線存続支援組織、「市民まるごと赤い電車応援団」(以降、「赤い電車応援団」)が発足している。同組織は商工会や行政側の組織だけでなく、市民側の組織、例えば老人会とか学校のPTAとか住民の自治会に当たる組織なども名を連ねており、行政側よりも住民側に近い存続支援組織である。住民「自身」による団体ではないものの、何らかの形で住民の意識に影響を与える可能性はある。そして今回の乗車で西尾駅からそれなりの乗車があった。実は帰りも蒲郡線経由で帰ってきており、西浦駅までは車内に乗客が結構いた。これはもしかして、同組織が動き出したことで蒲郡市民の意識がちょっとは変わったのか? ポスターか何か張り出してあるかも、と少し期待を抱いて形原駅で降りた。
駅前の蒲郡市役所形原出張所には、「積極的な利用」を呼びかける横断幕どころかポスター一つ張り出されてなかった……。

蒲郡市役所形原出張所には「何もなし」。そして商店にも……。


蒲郡線って上記画像のように、線路が海に近づくところが何箇所かあるんです。蒲郡行きの場合だと、西幡豆駅を出て一度林を抜けて、高架道路の下をくぐった先とか。でもそういうのは観光の目玉になり得ないんで*4乗客数増加には繋がらないだろうな。くそう。
そうこうしているうちに形原駅に着いたので降りた。乗る人は5、6人ほどいたと記憶していて、蒲郡市街中心部への利用はそこそこある様子。列車を降りてすぐ、踏切のすぐ横にある市の形原出張所を見た。出張所の建物に「横断幕」ぐらい掲げてあるだろうと思ったが、期待に反してどこにもなかった。踏切を渡って出張所の敷地内へ入る。建物の前にある掲示板を見たが、「蒲郡線の積極的利用」を呼びかけるポスターなんて一枚も貼られていなかった。
さらに形原小学校へも行ってみた。外から見えるところにそれらしき横断幕を見つけることが出来ない。もっと足を進めて[音羽]交差点の方へも行ってみた。潰れて明らかに何年も経つ小規模スーパー、統廃合により閉鎖された信金の支店、そして何よりも、車ばかり通って人通りが殆どない道。駅での乗降がそれなりにあればもっと商店があっただろう。もちろんこの交差点付近において営業を続けている店は何軒かあった。交差点の先にも足を延ばしたら理髪店とか飲食店とかがあったから、周囲に点在しているんだろうな。ところが見つけたそれら商店に「蒲郡線の積極的利用」を訴えるポスターが貼ってあったかというと、それがどこにも掲示されていなかったのだから恐れ入る。はっきり言って、期待した俺が馬鹿だった……。


蒲郡市の広報誌を形原出張所でもらってきたのだが、広報誌では利用促進のため「沿線2市2町で行っているイベント」を紹介していた。西尾市で行われているウォーキングイベントや10月11日に行われたビーチビューウォーキングの日程についても紹介されていた。また駅待合所やホームの壁にある掲示板には、11月1日に幡豆町で行われるウォーキング大会の案内ポスターが貼ってあった。「幡豆町のウォーキング大会」のポスターはたぶん幡豆町の実行委員会が作成したんだと思う。

でもイベントの告知ポスターをいくら駅の掲示板に張り出しても、駅の利用者がいなければ無駄ではないかと思うんですけど……。そこら辺ってどうなのよ「赤い電車応援団」。

鉄道という生活の足が失われたらどうなるか、代行バスでも十分なのか、その議論をしないとこの2路線は来年にでも廃線になる。

帰りの19時台蒲郡駅発普通吉良吉田行きの車内に、ユニクロの袋を持っていた人が何人かいたんです。あの袋を買い物袋代わりにするということも出来なくはないけれど、まぁゴミ袋以外に使う人はいないでしょ。まぁ、その人たちは西浦駅で降りたんだけど、ふとそこで考えた。幡豆町民って日用雑貨と食料品以外の買い物はどこで済ませているんだろうか、と。少なくともユニクロの店舗は幡豆町内にはない。じゃあショッピングセンターとしてアトラスRDX東海道路地図に記載されるほど大きな店舗が沿線にあるかというと、これまたどこにも存在しないんです。これ、ものすごく重大な問題。
鉄道が廃線になると、一番困るのはどう考えても車や原付を含む二輪車を所有しない高齢者や障害者、それと通学利用者。特に高齢者と障害者にとっては重大な問題で、日常生活に必要なものの買い出しまで不便になる。「じゃあ代行バスを走らせればいいじゃないか」と多くの人は言うかもしれない。でも本数は、運賃は? 「東幡豆駅前〜蒲郡駅前間大人一人340円、一時間に2本」なんていう運行形態は名鉄が一体の運賃形態でやっているから出来る額であって、代行バスにしても同じ運賃・本数が維持されるとは限らない*5もし自治体が代行バスの運賃維持を目的として補助金を出せば、それはいつか必ず住民の税金に「税率アップ」もしくは「債券発行」という形で跳ね返ってくる。極端な話だけど、自分たちが今金を出して乗って残すか、それとも自治体に補助を出してもらってそれが後の世代にツケとして回ってくるか、それともまともな公共交通機関がない自治体で暮らすか、いずれかなんだよ。なんだけど……その辺の議論を住民全体で話し合っているのかどうかが全く分からない。沿線住民の皆さん、どうなのよその辺。

赤い電車応援団」の代表者が幡豆町に行って、住民集会を開いた方がいいんじゃないの?

ポスターが見つからない、と書いたけれど、ポスター以前の話かもしれない。考えてみれば、メッセージボードは各自治体に回して寄せ書きをしてもらう、とは公式ページに書いてあったけど、署名活動のように自分たちで行ってどうのこうの、とはどこにも書いてないんだよな。もしかしたら単に沿線の市町役所に持って行って一定期間のうちに書いてもらう、ってだけかもしれないし。もうそんなことをするくらいなら、「赤い電車応援団」のメンバーが直接沿線に行って住民集会を開いて来た方が効果は高いんじゃないか? そうなるとパンフレットとかポスターとか横断幕とか二の次でいいかもよ。
だいたい、行政側の足並みが全く揃ってない。「西尾線蒲郡線対策協議会」の会議録で、「新安城〜西尾駅間の輸送密度は、国鉄再建時に定められたバス輸送が適当とする密度*6を越えているから、一体で廃線の議論をするのはどうか」なる内容の発言を西尾市側の代表がしていたことに、正直落胆した。かといって一色町幡豆町蒲郡市も擁護する気はない。幡豆町内各駅からの乗降状況は前記の通りで、沿線住民のこの問題に対する関心度は低すぎる。三河線知立〜碧南」間と西尾線「新安城〜吉良吉田」間という2つの鉄道路線を失ったらどこにバス路線をつなぐんだよ、と指摘してやりたい一色町吉良町において、今のところ「存続支援団体」が発足したという話はない。そして何よりも、対策協議会に最初から入るべき安城市が入っていないというのはもう、何を言えばいいのやら……。
ほんと、自分のブログのようにツッコミどころ満載w。和歌山電鉄の爪の垢を煎じて飲ませるべきは三陸鉄道ではなく、西尾線及び蒲郡線存続問題に関わる5市2町の住民と議員と市町長なんだ、と思った。吉良吉田駅から乗り継いだ弥富行き準急の車内は19時台なのにがら空きで、沿線住民の意識の低さを写すがごとく静かだった。


なお、お前はもう一つ何か見てきただろうってご指摘は、id:tabimogura:20091024にて承ります。

*1:行きは西尾駅12時13分発急行吉良吉田行きから吉良吉田駅12時31分発普通蒲郡行きに乗り継いだ。

*2:外部リンク「六万石くるりんバス西尾市役所ホームページ」:http://www.city.nishio.aichi.jp/index.cfm/6,1662,70,345,html

*3:各系統から別の系統へ西尾駅バス停で乗り継いだ場合に限るが、1乗車と見なして100円で乗れる

*4:姨捨駅付近とか肥薩線スイッチバックループ線とかなら全国的に知られているけれど。

*5:営業キロ10.6キロに対して340円という現行の運賃制度自体、考えてみれば少々高いがな。

*6:4000人