テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

うまみのない『周遊きっぷ』はもう切り捨てですか?

JRグループでは、平成10年4月1日から、全国の観光地に周遊ゾーンを設定し、往復の運賃が割引となる「周遊きっぷ」を発売しておりますが、お客様のご利用状況を踏まえ、平成25年3月31日をもって、「周遊きっぷ」の発売を終了いたします。長年のご愛顧ありがとうございました。
「周遊きっぷ」の発売終了についてJR東日本公式サイト)

昨年4月にゾーンが19も消えたので、こりゃあ発売終了かと思ってたら案の定だった。でも「ご利用状況を踏まえ」はあんまりだ。

 国鉄時代から販売されていた「周遊券」の仕組みが複雑だったことなどから、周遊きっぷは1998年に67ゾーンの設定で販売が始まり、2002年度には約13万枚を発行。しかし売り上げの落ち込みとともに周遊ゾーンも次々廃止され、11年度の売り上げは約4万8千枚だった。
JR6社、「周遊きっぷ」販売終了 3月末に日本経済新聞2月15日付)

何だかんだと言われてたけど2011年度でまだ年間4万8千枚も売れてたわけね……という話はともかく、「なんで売り上げが落ちたのか」については触れられていない。なぜ売り上げが落ちたのだろう。もしかしたら敢えて「言わずもがな」にしているのかもしれない。
宣伝しなきゃ売れないに決まっている。
当たり前だよね。発売を継続するとしている「フルムーン夫婦グリーンパス」や「青春18きっぷ」はポスターまで作っているし、「周遊きっぷ」以外の他の「フリーきっぷ」もパンフレットや公式サイトで宣伝をしている。ところが「周遊きっぷ」だけはポスターやパンフレットの類もないし、各社の公式サイトでも全く宣伝していない。それどころか「周遊きっぷ」に関する詳しい情報は「JR時刻表」か「JTB時刻表」にしかない。で、それで「売れませんからやめます」。これは非常におかしな論理だということに気づかなきゃならない。
では何で宣伝しないのか? 何のことはない、とっとと発売をやめたいから。

「利用者にとってお得=発売する側から見れば実は損」の構図

調べれば分かることなのだけれど、元々「周遊券」自体が破格の値段で、「東京ミニ周遊券」や「京阪神ミニ周遊券」のようにちょっと乗ればすぐ元が取れる、あるいは「一般周遊券」の場合だとちょっと頭を使えば片道乗車券に1割引適用、などと利用者側からすれば「お値打ち」三昧だった。
でもそれって実は「発売する側から見ればいろんな意味で損」でもある。mitake氏が「http://kisomitake.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/02/jr_358c.html」で書いておられる通り、国鉄からJRに移行する際、JR側は自社内発売の新たなフリーきっぷを多数用意した。一方で「国鉄時代からの流れ」ということで「周遊券」も取り扱っていたのだけれど、一般周遊券は規定で旅行会社しか取り扱わないしそもそも発券が面倒(調べれば分かる)。「ワイド周遊券・ミニ周遊券・ルート周遊券」は自社内で発売するフリーきっぷと効力が被り、自社内で発売するフリーきっぷの発売枚数に影響が及ぶ。ならばとっとと発売をやめたいのだけれど、既存の旅行者から文句を言われるのが嫌だから、とりあえず適当にまとめて「周遊きっぷ」として売り出した……という考えは邪推ですかね?
だいたい「発売する・しない」の設定がやたらちぐはぐなのである。「北海道フリーパス」も未だにJR東海だけは取り扱ってないし、「富士山フリーきっぷ」は米原や京都、大阪でも買えるのに「伊勢路フリーきっぷ」や「飛騨路フリーきっぷ」、「木曽路フリーきっぷ」は買えない。「ぐるりんパス」も一人用の設定はなくなった。売りたくないなら売りたくないでいいんだけれど、その前に「買いたい切符」についてのアンケートぐらい取ったら? うん、もうそう言うしかないです……と書いたところで本日付の記事は終わり。さて、今出ると13時22分名古屋発のSLあおなみ号には間に合うわけか。まぁ行って見るか、せっかくだから。

参考