テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

東照宮祭復活……諸費用一体ハウマッチ?

 名古屋最大の祭り行列として栄えたが、第二次大戦で山車が焼失するなどして戦後途絶えた「名古屋東照宮祭」(通称・名古屋祭)の行列の復活を、河村たかし名古屋市長が検討していることが分かった。最盛期には山車9基を含む約6800人の大行列が名古屋城付近を豪勢に練り歩いた。山車の再建などハードルは高いが、河村市長は「本物の名古屋祭を後世に伝えたい」と意欲的で、指示を受けた市総務局が資料収集など調査を始めた。【三木幸治】
名古屋祭:河村市長が復活構想 空襲で山車焼失、途絶(毎日.jp)

えーと、ちょっと待て。『「萌える」久喜と京都、そして「立ち遅れる」愛知 - 鉄道旅行とは、巡ること』と書いた後に『2年足らずで「崩壊」した「加茂川マコト」と出町商店街の蜜月関係 - 鉄道旅行とは、巡ること』を書いたお馬鹿さんは、ちょっと落ち着いて状況を把握すべきだ。すーはー、すーはー。

河村市長、それは「大山車まつりの緑区抜きバージョン」(と同等)です。

結論から言うと、市長が言う「名古屋東照宮祭」は2010年に開催された『大山車まつり』の「緑区抜き」バージョンに他ならない。理由の一つは上記記事中の

名古屋まつりは14年に60回の節目を迎えるため、市はこれに合わせて旧来の名古屋祭の行列復活を目指したいという

という市側からのコメント。「名古屋まつりに合わせて」開催した山車巡行は、戦後は「大山車まつり」以外にない。
そしてもう一つ挙げる理由は、その大山車まつりが「名古屋東照宮祭の山車曳行を念頭に置いて」計画されたものであるということだ。実はnova氏が作成された『名古屋開府400年大山車まつり|尾張の山車まつり』に、名古屋曳絆(ひきづな)会からのコメントが掲載されている*1。それによれば、大山車まつりは「名古屋東照宮祭の山車曳行を念頭に置いて」計画され、曳行経路は名古屋東照宮祭のそれを踏まえて作成されたという。ならばわざわざ新規経路を一から作成する必要もない。「大山車まつり」の時のあの曳行経路をそのまま再現すればいいだけの話である。
もっともあの河村市長のこと、また妙なことを言い出すような気がするのだけれどなぁ。

市長、これではSLの購入費用が出ないんじゃないですか?(ToT)

それはともかく、大山車まつりと同様に土日連続開催となると、毎年行われる名古屋まつりの開催費用に加えて新たな費用が発生する。平成二十四年度分は分からないが、平成二十三年度開催分における名古屋市の負担金は職員の人件費を含め1億2943万円であった(ダウンロード直リンク)。そこへさらに山車まつり一回分の開催費用……。ああ、くわばらくわばら。
五年に一度開催されるはんだ山車まつりの総事業費予定額は1億7千万円、そのうち1億円を半田市が負担している(平成二十四年度半田市主要事業予算案:ダウンロード直リンク)。半田市の支出分が31両の山車全部を揃えるのに必要な経費に全部使われたとして計算すると、1両辺り約322万円。9両集めると3000万円近い費用が新たに必要になる。もちろんこれは概算なので実際にいくら計上することになるかは分からないのだが、どう考えても1億5000万円程度はかかるだろ、と。それも毎年
河村市長は「京都の祇園祭のように名古屋祭を名古屋のシンボルにしたい」と言っているんです。毎年やるつもりなんですよ。そこへさらに山車復活? SL購入? 大声で言ってやる。
そんな金、名古屋にはありません!

 名古屋では27年ぶりという蒸気機関車(SL)の運行が来月に迫った。「実験走行」との位置づけで、2月16、17の両日に名古屋臨海高速鉄道あおなみ線」の名古屋−名古屋貨物ターミナル駅間(約5キロ)を、C56形160号機が1日3往復する。河村たかし名古屋市長の肝いりで4000万円の事業費を投入した一大イベントの成果は−−。【高橋昌紀、三木幸治】
追跡2013:SL、新幹線と夢の競演 27年ぶり名古屋に、あおなみ線で来月実験走行 /愛知(毎日.jp)

はっきり言って、たかだか5キロ程度で元が取れるわけがない。SL博物館にしたってそう。隣の関西ではJR西日本がSLを保有し、京都・梅小路蒸気機関車の展示館を持っている。すぐお隣の静岡では大井川鐵道がSLを運行している。そこへ運転実績自体久しぶりという名古屋市がのこのこと現れたところで、「SL売ります、保存活動を頼む」と言うところなんてあるの?
河村市長ってたまーに妙なリップサービスをやるものだから困る。同じパイに後から食いついたって、美味しいところなんて何もありゃしない。そんなことをするくらいなら市販のレシピを参考に自分で作って食ってみろ……と書いたところで本日の記事は終わり。最後はまじめに締めくくろう。nova氏が運営中の『尾張の山車まつり』は非常に有益なサイトである。尾張の山車まつりで分からないことがあればまずここを尋ねていただきたい。ちなみにnova氏とは一切面識はないので念のため。

*1:nova氏は素晴らしい方である!