テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

消滅しそうな「周遊きっぷ」とまだまだ続く「地域観光系フリー切符」

昨日(2012年4月1日)付で周遊きっぷのゾーン32ゾーンのうち、半数以上にあたる19ゾーンが発売終了となった。残るは以下の13ゾーンのみ。

  1. 北海道ゾーン(5日間用)、札幌・道東ゾーン、札幌・道北ゾーン、札幌・道央ゾーン、札幌・道南ゾーン=JR北海道各地域
  2. 東京ゾーン=JR東日本首都圏エリア
  3. 京阪神ゾーン=JR西日本関西圏エリア
  4. 四万十・宇和海ゾーン、四国ゾーン=JR四国管内
  5. 九州ゾーン、福岡ゾーン、長崎・佐賀ゾーン、大分ゾーン=JR九州管内

この結果、東北に続き東海・中国地方からも「周遊きっぷ」ゾーン券は姿を消しました。萩・秋芳・津和野ゾーンぐらい残しといても罰は当たらんだろうに、自社直売のフリー切符とエリアが重なるゾーンは一律に廃止してくれたからたまったものではない。「使いにくくした上で利用者減少を理由に廃止」という理屈が通っている、というネット上の噂話も実は本当なのかもしれない。ほんと、貧乏人は旅行に行くなとでもいうのですかね、JR各社の上層部は。
周遊きっぷはこんな有様で消滅する可能性も本当に出てきたのだけれど、地方交通事業者が沿線自治体や観光施設、あるいは飲食店等と手を組んで発売する、「優待特典」付きフリー切符は今年もまだまだ健在。中でも複数の自治体にまたがって発売され、特典対象施設もフリー乗降区間のほぼ全域に及ぶ以下の5つは、今年も発売継続が確定している。

1.会津ぐるっとカード(公式サイト:http://www.aizukanko.com/kk/aizucard/

今年度も発売継続。広域観光推進を目的とするフリー切符として発売当初から注目を集めた。値段は高いが価格相応の特典内容。東日本大震災原発事故の影響により観光客自体が減少する中で、今後このカードをどうやって売り込んでいくか、同カードを発売する会津カード運営協議会の動向に注目したいところ。
なお、会津若松市が行った平成23年度行政施策評価では会津ぐるっとカード運営事業について、

カード利用エリアの拡大、利用期間の延長、カード利用可能店舗のサービス向上の検討が必要である。またガイドブックの内容について、アンケート等の実施により利用者の立場に立った情報提供についても検討していく。
会津若松市公式サイト内「平成23年度施策評価表」のうち「政策の柱3:産業経済」評価表番号3−1−3より
(評価表一覧:http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/j/machi/g_hyouka/g_hyouka-h23/hyouka_hyou.htm

との改善提案が示されている。同カードの発売枚数は減少傾向とのことだが、会津若松市としては今後もカードの運営事業に関与していく方針らしい。

2.仙台まるごとパス(公式サイト:http://www.sentabi.jp/marugoto/

東日本大震災の影響でしばらく発売中止となっていたが、2011年7月14日より発売再開。これも価格相応と言いたいが、ホームページ上よりクーポンブックのダウンロードができないままなので特典内容を吟味することができない。何かあったんだろうか?
なお、昨年10月1日付で仙台空港鉄道全線運行再開、阿武隈急行線も12月1日付で通常ダイヤでの運行を開始している。周遊きっぷ「山寺・松島ゾーン」の発売がなくなった今、山寺及び松島で観光しようと思うならこのフリー切符を使うしかない。

3.絶景領域・萌えっ子フリーきっぷ(公式サイト:http://www.engan-bus.co.jp/moekko/index.html

北海道の沿岸バス株式会社が送り出すフリー切符。1stシーズンの発表当初から「萌えキャラ採用GJ」でその手合いをKOし続けてきたが、2012年5月1日より発売される4thシーズンで、遂に「スク水+セーラー服」姿の萌えキャラが登場。ちなみに当初は「スク水」姿で登場させるつもりだったらしく、その後「スク水+セーラー服」姿に変更されている。デザイン変更のお知らせ(http://www.engan-bus.co.jp/information/info_20120402_moekko.html)で使用中のイラストは、思わず……いやいや早く服を着ろ服を。
フリー切符の内容としては、もはや文句のつけようがない。ただ、今度の4thシーズンより発売が開始される「ワイド2日券」の使いどころは難しい。羽幌沿海フェリーの運賃一割引は意外においしいかもしれないけれど、宿泊地は自動的にあそこになるわな。

4.SUNQパス(公式サイト:http://www.sunqpass.jp/index.shtml

期間限定かと思ったらそうではなくて、今年度も発売継続。1回だけ実際に使用し、「やる気があれば元取りは十分可能」と判断。定期自主検査や廃止により利用できない路線が出てきているので、上記公式サイトでチェックすることが重要である。
なお、大分〜宮崎間など直通するバス路線がない場合もいくつかあるので、公式サイトの主要バス路線図を見てから計画を立てることを強くお勧めする。

5.スルッとKANSAI2Day・3Dayチケット(公式サイト:http://www.surutto.com/

3月22日に公式ホームページリニューアル。相変わらず「特典対象施設の全域分散」で各地区毎の優待特典数は少なめの傾向にある。ただ、その優待特典施設に変更があったようなので注意。もしかして堺や和歌山付近がおいしくなったか? なお、スルッとKANSAI2Dayチケットは従来の「利用可能期間内の任意の2日」から「利用可能期間内の連続した2日間」に変更されているので注意が必要。

それでなくても昨今、景気悪化で各公共交通機関の収益が悪化したと叫ばれる今、「何か他にはない」特典を持つフリー切符は、観光客誘致という面でもかなり有利に働くはずである。他の自治体も地元の交通事業者と組んでちょっと考えてみてもらいたいものだ。いや、上記のフリー切符ほどとは言わないけれど。それとも発売に必要な費用すらない?