テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

「外周きまぐれ列車」は最後まで大々的に取り上げられることはなかった。

鉄道ライターの種村直樹さん(73)が6日、日本外周列車の旅を始めて30年目にして、スタート地点の東京都中央区日本橋に戻ってきた。
「日本外周列車の旅、30年目でゴール のべ493日間」asahi.com 2009年6月6日付け配信)

いけません。『旅と鉄道』を買っていたにもかかわらず、すっかり忘れてました。いやいや、無事ゴールインですか。途中で「本人健康上の理由により無期限延期」って思ってたんですが、さすが72歳で現役のテツ、意地張って日本橋まで行ったんですか。そういえば『旅と鉄道』では「日本橋までどうやって行こうか考えている」と書いておられたんですが、実際にはどうやって日本橋までたどり着いたのか気になるところです。まさか……品川から日本橋まで徒歩?

外部リンク:
種村直樹が29年間の「外周の旅」で失ったあれこれ(とれいん工房の汽車旅12ヵ月)
http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20090609

それはともかく、もりくち氏に批判部分を見事に取られてしまったので、私から語ることは何もございません。以下の記述はフォロー(にならないフォロー)として斜め読みしていただければ結構です。

いろいろ立ち寄っているように見えて、実は立ち寄ってない。

『旅と鉄道』を買い続けた理由はずばり、「鉄道旅行」という旅行のスタイルに対する専門の雑誌がなかったから。2004年に「SL-C760+AH-H403C」の組み合わせでネット接続環境を立ち上げてからも、ずっと……最終号まで買い続けていた。当然、種村先生の「日本列島外周気まぐれ列車」にも何度も目を通した。そして2004年に当ブログを立ち上げ、実際に自分で複数泊する旅行を計画し実行して、「気まぐれ列車」をもう一度読み返すと何か違和感を感じた。
「あんまり観光施設には寄ってないんじゃないか?」


『旅と鉄道』2008年4月号(No.175)の誌面に「PART Ⅹ 第11回」(2007年8月31日〜9月4日)が掲載されている。前回、伊良湖フェリーターミナルに着いた所までが掲載され、その回は伊良湖ターミナルから休暇村伊良湖へ移動して宿泊し、そこから豊鉄バス豊橋鉄道線を経由して豊橋まで行き、豊橋から舞阪、天竜浜名湖鉄道天浜線、袋井、御前崎と経由して焼津まで向かう行程が掲載されている。それを見ると、実際に立ち寄った観光スポットは浜名湖遊覧クルーズ、旧新井関所跡、舞阪の東海道松並木、そして静岡空港(現在は開港)ぐらいしかないことが分かる。もりくち氏が指摘する通り、記録の半分は「身内ネタ」と「宿泊先への移動に関する記述」で埋められている。これって旅行記としてどうなんだ? いや、それ以前にこれって、「ひたすら日本列島の海岸に近いところを鉄道やバス等で巡る」、単なる乗りテツの記録ではないのか?

非鉄道ファンはまずこんなことなんかしないし、この人の書いた本を読むこともないだろう。

いや、「スタートからゴールまでの移動には新幹線や特急は使わない」と貫けば、それはそれで「大したもんです」って絶賛されるだろう。しかし時間がかかりすぎているのはあまりにもまずい。1周するのに29年、実際の旅行日数は493日。もしこの旅行行程を実行するのに同じだけ日数がかかるとすると、一回分を「現地滞在が実質7日」とすれば71回目でゴールできることになる。年4回刊の『旅と鉄道』で18年目に連載終了、もし最初から同誌が月刊化されていれば、計算上、連載開始から6年後に連載が終了する。しかし実際には前記雑誌の掲載分で第86回。どう考えても1回分に5日から6日しか充てていない。ええ、たった1日余分に取るだけで連載をもっと早く終えることが出来たんです。何で?


この人、プロの作家なんですよ。サラリーマンと兼業しているわけじゃない。タレントでもない。スケジュールをやりくりすれば1年の10分の1くらいは「気まぐれ列車」のために開けられるはずなんです。「日本列島外周気まぐれ列車」の過去の連載分をまとめた単行本が発売中だけれど、こんなに長い期間かけて、でもやったのは「日本列島の外周を一巡りしただけ」……。非鉄道ファンは立ち読みだけして立ち去るか、棚に戻した後で別の本を買うでしょう。

祝福のため日本橋に集まったファンの数が、全てを物語っている。

当日のゴールインを日本橋で祝ったのが約100人。毎日新聞朝日新聞の記事としての扱いが小さいのもうなずける。たった100人だもん。横見裕彦氏がJR全線全駅下車を達成した時もこのくらいの人数が集まって、記念ヘッドマークを付けた列車も走って、地元新聞にも取り上げられた。世間の注目度ってそれと同レベルなんだよな。でなきゃゴールにはもっと多くの報道陣が来て、っていうか途中でニュース沙汰になってます。
今回のネタに「テツホイホイ」のタグをつけた理由はそこです。所詮そんなレベルでしょって事。


こんなこと書けば「批判集中」ってのは分かってます。
でも連載読んでて言いたくなるのを必死に押さえてきたんです。


「いつ終えるんだよ、種村先生!」


さて、と。さっさと5月の旅行記録を仕上げにかかりますか。