テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

「209系京浜東北線から引退」記念イベントに、「子供向けのイベント」まで入れたのはなぜですか、JR東日本。

1ヶ月近く日記書かずにいたんですが、日記を書く気力を自分自身に注入することが……いや、すんません、単に酔っ払ってすぐ寝てしまっただけなんで、まだしぶとく生きてはおります。で、その間何してたかというと、6日に7700系白帯車を名鉄三河線で、7日に500系名古屋駅17番ホームで撮影してました。

名鉄公式サイト「ニュースリリース」内:「パノラマカー縁の「7000番代」最後の車両が引退します
http://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2009/1198391_1139.html
JRおでかけネット:「500系のぞみSpecial site」
http://www.jr-odekake.net/navi/500kei_nozomi/



で、この画像を使って記事を書きかけていたら、「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」の更新情報が来た。コメントを含めて全部見て、う〜むとしばらく考え込んでしまったのです。

鉄道イベントでしか盛り上がれない鉄道マニアと鉄道会社の憂鬱‐とれいん工房の汽車旅12ヵ月
【衝撃事件の核心】「鉄ヲタ専用車両でーす」暴走する一部鉄道ファンの行き着く果ては…


全部読み通したのだけれど、にわかテツの域を出ない私がどうのこうの意見する話ではない。旧名鉄谷汲線廃止日当日に撮影しに行ってしまったり、名鉄7000系ラストランの際にはホームに三脚立てて撮影してしまったし……。ただ、こんな毎回毎回「引退日当日は大混乱」が繰り返されてたら、そのうち「引退は密かに鉄道会社の身内だけで、廃車回送は突然に」なんてこともする鉄道会社が出てくるだろう。そうなったら鉄道ファン、というか「葬式鉄」は目的を一つ自分たちで潰すことにもなるんだが……と一言。お互いに自重、自重。
一部鉄道ファンの「暴走」行為についてはさておき、この日行われた「209系京浜東北線から引退」記念運転について気になって、調べていくうちに大船駅と大宮駅で関連イベントが行われたことが分かった。しかしその内容を知ってがっかりした。JR東日本は何考えてるのか分からない。

「209系の京浜東北線引退」程度で非鉄道ファンを大量に釣り上げることはできません!

JR東日本は14日、京浜東北線で運行中の209系電車について、2010年1月24日の営業運転を最後に引退させると発表した。
「京浜東北線の209系電車が2010年1月24日に引退 - 大船と大宮でイベント開催」マイコミジャーナル2010年12月15日付

JR東日本京浜東北根岸線で活躍した通勤電車「209系」が24日限りで引退することになり、”最終列車”を見送る大勢のファンが大船駅鎌倉市)に詰めかけた。
京浜東北・根岸線の209系が引退 【JRの通勤電車】  大船駅で記念イベント。カナロコ鉄道ノート2010年1月24日付

2つ目は神奈川新聞公式サイトで2010年1月24日に配信された、「209系電車がラストラン、JR各駅にファン集結 /神奈川」を書いたと思われる記者のブログだ。2つの記事から当日の大船駅及び大宮駅で行われたイベントの内容を分かる範囲内で書き出してみる。

これらを見て、名鉄のやり方とは全然違うなと思った。名鉄公式サイトで公開されている「過去のニュースリリース」を全部見れば分かると思うけれど、少なくとも定期運転終了後の「ありがとうパノラマカー」臨時列車を運転する際、記念グッズや記念乗車券の発売以外に何かやるとか公式には言っていない。7000系の引退イベントを定期運行終了後6回もやった名鉄が、その引退イベントに関連して「お子様向けのイベント」を沿線の駅でやる、とは一度も言わなかったんです。あくまでも私の予想だけれど、7000系の定期運行最終日以前に行った一連の引退及び特別運行でも、鉄道ファンが乗客のうちかなりの数を占めていたのだろう。だから、名鉄の上層部あたりが「この手のイベントには家族連れは来ない」って割り切ったのではないか、と。臨時列車の運転区間とか、乗車に必要な乗車券等の発売条件が次々に変わったことを合わせて考えると、どうも「引退記念運転は鉄道ファン向けに割り切ってやっている」様な感じがした。
話を戻して209系引退記念イベント。「子供用駅長制服撮影会」とか「プラレールレイアウトの展示」とかって、どう考えても子供を連れた家族向けのイベントであって、鉄道ファン向けのイベントじゃない。一方、209系という車両は、首都圏のJR線を通勤・通学などで利用する人たちから見れば普段乗っている列車であり、普段から何回かでも見かける列車であり、しかも他地区の路線でも走っている*1。製造された理由と盛り込まれた新技術は確かに「特徴的」だけれど、こんな列車に興味を持つのは鉄道ファンしかいない。今までの「列車引退」記念運転を全部調べておけば、通勤列車の引退ごときでは鉄道ファン以外の一般客はそれなりにしか集まらない、って分かるだろうになぁ。
そもそも、集まってくる「人」が明らかに違うと予測できるイベントを、同じ日に、同じ路線の駅でやってしまったってのが間違いなんだ、と私は思う。最終日はもう「お別れ運転」だけにして、それよりも前の土曜・休日に「子供向けイベント」をやるべきだった……のではないかなぁ?

引退イベントは「おまけ」と割り切ってやるべき

名鉄の平成22年3月期第3四半期決算短信が出ている。決算説明書中の「連結経営成績に関する定性的情報」を見ると、鉄軌道事業については「沿線地域の雇用情勢改善の遅れや中部国際空港の利用者急減に加え、新型インフルエンザの影響もあって全体の輸送人員は減少し、旅客収入は減少となった」と書いてある。これは同じ決算短信の一番最後、「第3四半期累計期間運輸成績(個別)」を見れば分かる。バス事業と鉄軌道事業を合わせた結果だと思うけれど、前年同期と比べて「定期」の客の減少よりも「定期外」、すなわち普通運賃や座席指定券を払ってくれる客の方が大きく減ったんです。この間、名鉄豊田線と地下鉄鶴舞線の相互直通記念イベントをやったり、舞木検査場の見学イベントをやったり、7100系の引退記念臨時列車も仕立てたりした。でも結局は旅客数の回復には繋がらなかった。

何度も言っていることだけど、まずは恒常的に乗客に利用してもらえるよう何かイベントなりキャンペーンなり、あるいはサービス向上とか考えるのが先決。特に「沿線在住者にいかにして自社路線を利用してもらうか」ということが一番重要な問題。「列車の引退イベント」はそういう点から考えると、あくまでも「おまけ」としてやるべきもの。鉄道ファン以外の子供向けイベントまで同時に開催して、それで今後乗客数が伸びてくるとは到底思えないんですけどねぇ……。


撮影日当日、名古屋駅17番ホーム東京方にも、また知立駅にも明らかに「撮り」を目的とする人たちがかなりいた。あの日の状況がid:tetsumogura:20081226に書いた、名鉄7000系パノラマカー」が通常の営業運転を終了した日と同じ状況にまでは至っていなかったということは、やっぱり最終日に「何かある」と期待して行ってしまうんですか? 定期運行最終日当日なんて、結局幹事駅長が出発の合図を出してそれで終わりじゃにゃーか……と思うけれど、そろそろお時間になりましたのでこれでお開き。

*1:7700系もそういう点から見ると、三河線沿線在住の方にとっては「普段見慣れている編成」なんだろうけど。