(改訂版)ICカード乗車券、共通化はいいが「非対応区間」が足引っ張ってます
天国に行ったスーさん(三国連太郎さん)が怒鳴ってるよ、きっと。
愛知県新城市のJR飯田線の無人駅で、ICカード乗車券を利用した降車客の料金精算に時間がかかり、九十二分の遅れが出た問題が利用者に不満を広げている。
(「『共通化のはずが IC乗車券 精算できず遅延』使えぬ駅 利便性どこへ」中日新聞2013年4月16日付、31面コラム)
コラム記事に関しては「mitakeつれづれなる抄」2013年4月16日付(リンクはこちら)に掲載された、記事の取り込み画像をご参考に。その飯田線で起きた列車遅延の話については「MSN産経ニュース」の以下のリンクで。
- MSN産経ニュース2013年3月30日付記事:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130330/dst13033022300001-n1.htm
- 同記事の「Web魚拓」:http://megalodon.jp/2013-0417-1017-01/sankei.jp.msn.com/affairs/news/130330/dst13033022300001-n1.htm
その乗客って「飯田線東新町駅や茶臼山駅がTOICA未対応」とは知らなかったと思うのです。知っていれば乗車駅で磁気乗車券を買うか、乗換駅となる豊橋駅で駅係員に相談しているはずですよ。そしてまだ知らない人がいるってことは、「未だに未導入区間の存在が、JR東海のエリア内で周知徹底されてない」ってことではないですかね?
そこなんだと私は思うんです、根本的なところは。
その路線全線に「ICカード乗車券システム」を導入済み、と思ったら大間違いだなんて!
九州地区で唯一SUGOCAが導入されていない県、宮崎。それに関してこんな記事が出てました。
JR九州のICカード乗車券「SUGOCA(スゴカ)」が九州7県のうち本県にだけ導入されていない。
3月には全国のJR、私鉄が発行する計10種類のICカード乗車券で相互利用が始まったが、本県は自動改札機すらなく置き去りにされた格好だ。県も導入を求めているが、JR側は利用客が少ないことから「導入の予定はない」。観光客からは「使い慣れているカードが宮崎で利用できずに不便」といった声が聞かれる。
(「採算合わない」本県置き去り IC乗車券「SUGOCA」(宮崎日日新聞2013年4月11日配信)
「利用客が少ないから」、それが企業としての本音です。ICカード乗車券システムは設置だけでなく、その後の運営や保守にも費用がかかる。だから客が少なく設置しても赤字が確実なところには入れない。ICカード乗車券システムは赤字ローカル線の省力化用じゃなくて、需要が見込める路線における省力化用なんです。
JR東海は3月のダイヤ改正を前に、飯田線の駅を9つまとめて無人駅化すると言い出した。結局、5つの駅については沿線自治体が補助金を出してJR東海のOBを再雇用し「委託駅」扱いに、そして残り4つの駅は無人駅となった。そんなところにわざわざあのJR東海が多額の初期投資をしてまで、ICカード乗車券の簡易入出札機なんか設置するわけがない。だからとりあえずどこまでが利用可能範囲なのか、念のため事前に調べる人はどのくらいいるの? さらに他のICカード乗車券の対応エリアまで事前に調べる人はどのくらい?
- 「【長野】JR飯田線9駅を無人化」(中日新聞Web・2013年4月2日付):http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20130402/CK2013040202000021.html
困ったことに、飯田線みたいな「途中までしかICカード乗車券が使えない」路線が全国に多数存在します。東北本線(宇都宮線)「黒磯〜矢吹」間、上越線「水上〜長岡」間がそうだし、長野県内に目を向ければ、中央東線韮崎駅より西側、中央西線中津川駅より東側は対応エリア外となります。で、九州地区からこの状況を調べた上でSUGOCA使って来い、と言ってるわけです。
中部地区(静岡・長野を含む)は「相互利用開始」で大きなメリットを受ける、はずだった地域
「冷蔵庫」なんて揶揄されている某評論家氏は、「このままでは相互利用の意味がない。会社ごとに別のICカードを使っていた従来の方が利用者にとってはよかった」なんて言ってます。でもこの東海地域(静岡を含む)はそうでもない。
TOICA(JR東海)、manaca(名鉄・名古屋市交通局系*1)、ayuca(岐阜乗合自動車)、PiTaPa(近鉄)、ICOCA(近鉄)以外に、LuLuCa(静岡鉄道・しずてつジャストライン)、「ナイスパス」(遠州鉄道)、さらには長野市内で昨年10月27日から「KURURU」なるICカード乗車券(アルピコ交通・長電バス・ぐるりん号の長野市内系統が対象)。これに福井や富山を加えたらもっと増えます。そんな状況がようやくちょっとだけ改善したんです。
今回の相互利用開始により、何とかTOICAとmanaca、PiTaPa*2及びICOCAだけは相互利用可能になった。これでJR東海・名鉄・名鉄バス・名古屋市交通局・リニモ・ゆとりーとライン・あおなみ線及び近鉄の各対応エリアはどれか一枚でOKです。これに、肝心の「LuLuCa」は他では使えないけれど、静岡鉄道としずてつジャストラインが「前記4種のいずれかで利用可能な路線」として加わります。しかし一方で、「ナイスパス」もayucaもKURURUも置いてけぼりです。その上、その肝心の長野エリア内の鉄道線は、Suica及びTOICAからはざっくりと外されている。何ですかねこの落差は……と書いたところでとりあえず言い出すとキリがないからここまで。さて、今年の連休は名古屋・栄が熱くなりそうだぞー。「栄ミナミ音楽祭」のプレイベントに加え、「みんなの祭り 無礼講 vol.7」の開催が確定しているらしい。