岐阜バスだけ「manaca」グループから置き去りだなんて。
名古屋市交通局、名古屋鉄道株式会社などが参加するトランパスＩＣ協議会においては、平成２３年２月に導入予定のＩＣカード乗車券の名称及びデザインを決定しましたので、お知らせします。
〜「ＩＣカード乗車券の名称とデザインを決定しました」（名古屋市交通局公式サイトより）
「manaca」だって、「マナカ」。トランパスIC協議会が発行するICカード乗車券、「マナカ」に決まったそうです。「ど真ん中」だからのう。「Central + Card」で「センカ」……は「戦火」を連想させるか。本土空襲を経験した人たちにとっては使いにくいだろうなぁ、などという妄想話はさておき、忘れられていることがあります。
そう、岐阜バスです。
岐阜バスは既にICカード乗車券を導入済み。
東海地区におけるICカード乗車券は、JR東海が発売する「TOICA（トイカ）」が有名だけれど、ほぼ同じ時期に岐阜地区でもICカード乗車券が発売されてます。それが岐阜バスで使える「ayuca（アユカ）」。岐阜・長良川の「鮎」＋「card」って事なんですかね。実はこの「ayuca」、かなりの枚数が出ています。
県内では昨年末、ＪＲ東海が「トイカ」、岐阜乗合自動車（岐阜バス）が「アユカ」を相次いで発売。わずか１年足らずで、発行枚数（９月１８日時点）はトイカが約３０万２０００枚、アユカが約５万６０００枚に上る。
〜「ＩＣ乗車券、岐阜県内で利用拡大 トイカ（ＪＲ東海）、アユカ（岐阜バス）が普及」
（岐阜新聞Web「クローズ・アップぎふ経済」2007年10月20日付記事より抜粋）
2007年9月18日時点で約5万6千枚。岐阜市の人口ってまだ（岐阜市民の方々には申し訳ないけれど）40万人ほどだったと記憶している。ということはもしこのICカード乗車券が岐阜市民のみに普及していた場合、約8人に1人がこのカードを持っている計算になる。もちろんそんなことはないのだろうけど。
この「アユカ」、「オムニバスタウン事業」の一環として始められたもので、国・岐阜県・岐阜市の協力を得て導入された*1。「オムニバスタウン事業」とは正式には「オムニバスタウン整備総合対策事業」と称し、元々は旧運輸省・旧建設省・警察庁の３省庁が協力して平成９年度から始めたものだそうな。それを国土交通省がそのまま引き継いで現在に至っているらしい。同事業の指定都市は岐阜市を含めて１４都市で、うち新潟市・松山市・福山市がこの事業の「継続案件」となっている。ちなみにこの事業の初認定は浜松市（平成9年12月25日）。
まぁこの事業自体の話は置いておき、ここにものすごい問題があるんですよ。
「トランパスシステム」の導入だけでなく、ICカード乗車券の「互換性」も保障しないなんて！
この「マナカ」が利用できるところはどこなのか？
名古屋市交通局（市バス・地下鉄）、名古屋鉄道株式会社、名古屋臨海高速鉄道株式会社、名古屋ガイドウェイバス株式会社、名鉄バス株式会社及び豊橋鉄道株式会社の６事業者共通で「ｍａｎａｃａ」がご利用いただけます。
〜上記「名古屋市交通局」公式サイトより抜粋
そういうことです。岐阜バスがまたもや抜けてるんですね。
「トランパス対応磁気乗車券システム」を導入し始めた時、名鉄は岐阜バスを対象から外した。なので岐阜バスでは未だに「トランパス対応磁気乗車券」が使えません。そういう現状から考えると、ICカード乗車券についても「マナカ」と「アユカ」の相互利用が可能なのかどうかは全く分からない。ただ、相互利用に関してはまだ僅かに望みがある。「利用した額に対してポイントを付与し、積み増し時に運賃に換算できる」制度の導入が、「マナカ」には既に用意されているのです*2。このポイント付与制度自体は既に「アユカ」には導入済みです*3。乗車券システムそのものの互換性に加え、このポイント付与方法と運賃への還元方法が「アユカ」のシステムと統一されていれば、「アユカ」の利用者はICカードを2枚持たずに済むかもしれません。
前記の通り、「アユカ」の導入は「国土交通省（旧運輸・建設省）の支援対象事業」。一方で「マナカ」は名鉄や名古屋市交通局などトランパス協議会（トランパスIC協議会）が導入を進めている「企業ベースの推進事業」。導入を推進した「後押し母体」が違うんです。なので「トランパス」も「ICカード乗車券」も岐阜地区だけ別個になっちゃったのかな。本当はこの件、東海地区の交通事業者が一体となって進めていたら、もしかしたら導入は意外と早く進んでいたかも……というのは私の妄想だと思うのでこの辺でお開き。
今回の話も前回に引き続き、日曜に書いているけれど金曜付けに放り込んでおきます。
