テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

「アニメとのタイアップ」を一鉄道会社だけにやらせていいんですか?

京阪電気鉄道大津線にて、人気アニメ『中二病でも恋がしたい!』のラッピング電車の運行を開始した。運行期間は約1年間。ラッピング電車の運行に合わせ、4月26日には同アニメのメインキャラクターをデザインした特製乗車券が発売される。
http://news.mynavi.jp/news/2014/03/18/320/

先日『中二病でも恋がしたい!』DVD第一巻をレンタルして見ていた。第一話冒頭で小鳥遊立花が手をかざして扉を開けたのは京阪石山坂本(いしやまさかもと)線の600形だ。右に向かってカーブしていく路線が駅と併走する構図は、明らかに石山坂本線石山駅だ。駅名票も何か良く似ている気がした。何でこんなに都合よく「符合」するのかと思って最後まで見ていたら、エンディングクレジットの「取材協力」に「京阪電気鉄道株式会社」の名が。そういうことかよ馬鹿野郎orz。
まぁそれはともかく、京都はじまったのかな?
石山坂本線*1は『けいおん!』フルラッピング編成に始まって、『ちはやふる』に『中二病』、ヘッドマーク掲示のみだけれど『いなり、こんこん、恋いろは。』とのタイアップ車両も現時点で運行中です。叡山電鉄は展望列車「きらら」つながりで四コマ誌「まんがタイムきらら」と、京都市交通局は京都国際マンガ・アニメフェア関連で、京都を舞台としたアニメのラッピング列車を運行中(この記事を書いた時点で、ですが)。凄いなこの数。始まったみたいだなぁ。
ただ、気になったのは京都新聞に対して京阪側が出したコメント。

宣伝というより地域活性化の目的が強く、沿線以外の人にも多く乗ってもらいたい
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20140318000170

「アニメで地域活性化」なんて、それを言うべきは京都府京都市の関係者のはずなんですがねぇ。
京都府はきれいな入り江とか天橋立とか護衛艦のある港町とか、他とは差別化できるだけのコンテンツを持ってるんです。京都市も神社仏閣とかだけでなく、風情ある町屋とか賑わう繁華街とか、全国でも非常に少なくなった路面電車線とか、いろいろ売り出せるコンテンツを持ってるんです。さらに京都市は「山村ミステリー」と俗に称される故・山村美紗さんの作品群により、全国的にも不動の有名観光地となっています。でも京都を舞台としたアニメや漫画は本当に少ない。小説は多いんだけど、アニメや漫画が少ない。舞台としては独特すぎてファンタジーやラブコメの物語には使いにくいんでしょうかねぇ? いや、それならば『らき☆すた』とかどうするのよ? 言っちゃ何だけど(旧)鷲宮「町」だぞ?
舞台として使われた(と判明した)後の対応が、旧・鷲宮町京都市では違うように見えます。はっきり言うと「ぬるい」。鷲宮においては、土師祭にらきすた神輿を出し、初詣時には商店街が『らき☆すた』グッズの大売出しをする。これを見て旧・鷲宮町は特別住民票を交付し、原作者の出身地でもある幸手市は原作者が住んでいた家を無償で借り受け、中を改装して『らきすた博物館』に仕立て上げた。京都はどう? 『いなり、こんこん、恋いろは。』は京都伏見が舞台です。でも伏見稲荷神社にあるのはキャラクターPOP看板のみ。絵馬とか出さないの? 神社の境内「内」なら屋外広告規制条例とか無関係とちゃいますか? 京都市は何してはるんですか?
「アニメで地域活性化」なんて、一鉄道会社が出来るものじゃない。少なくとも市内にある商工業者を纏め上げる上部組織、具体的には商工会か市町村行政組織がまず初めに動かないと他の企業や団体などは付いてきません。鷲宮町の事例がまさにこれで、土師祭にらきすた神輿を出し、「らきすた関連グッズ」を町内の広範囲で売ろうと言い出したのは、久喜市商工会鷲宮支所(旧鷲宮町商工会)です。商工会の取り組みを受けて行政側も動き出し、それが今の「らきすた」人気に繋がっているんです。京都市には、京都府には、京都の産業界にはそこまでのやる気があるのかなとちょっと疑ってみたりみなかったり。
3月29日に京都クロスメディア・クリエイティブセンター公式アンテナショップ、「京とあまのね」(http://amanone-kyoto.jp/)がオープンするそうです。同ショップの公式サイトによれば、「京都を舞台にしたアニメ・漫画や京都限定のアニメ・漫画関連商品、京都府出身クリエイターの作品関連商品を扱う」とのことです。が、まさか発売済みのアニメビデオとか漫画とか、あるいは八つ橋のパッケージにイラストを入れただけ、なんてことはしないよねぇ? 「アニメで地域活性化成功」というハードルは、鷲宮町及び幸手市の成功により棒高跳びで超えなきゃならないくらいにまで上がっている。そんな高いハードルを飛び越えるには、鷲宮を越えろとは言わないけど、それに類するくらいインパクトのある企画を持ってこないとダメです。もしオリジナル商品を売るというのなら、せめて『いなこん』のキャラクターイラスト入り京扇子は発売しないとなぁ。でも京扇子業者が拒否したらそこまでだよなぁ「いなこん」人気共々……などと変なオチをつけたところで本日付記事はおしまい。ところで知多半島観光圏協議会と共同で「知多半島ぶらぐる散歩〜おもてなしハイキング〜」を開催すると発表しました(http://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/03/14/release140314_chita_1_1.pdf?_ga=1.48890918.1867559413.1382792994)。PDFを見て、これにまで「知多娘。」が絡んできたらすごいなと。

*1:いしやまさかもとせん。いしやまさかほんせん、ではない。京津線と合わせて「大津線」と称していますが正式路線名で