テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

特急「日本海」・急行「きたぐに」の多客期臨時列車化と便乗商法

 昭和25年から寝台急行として、昭和43年以降は寝台特急として運行してきた「日本海号」は、3月17日のダイヤ改正に合わせて定期運行を取り止めることとなりました。
 つきましては、皆様のご愛顧と長年の運行に感謝の意を込め、JR西日本金沢支社と日本鉄道構内営業中央会金沢支部がタイアップし、「ありがとう日本海号」の限定商品を販売する運びとなりましたので、お知らせいたします。
「ありがとう日本海号」限定商品の販売について:JR西日本

3月16日の運転をもって特急「日本海」及び急行「きたぐに」は定期運行を取りやめるんですよね。まぁ案の定というか、定期運転終了当日の特急券(寝台券)は10秒とか15秒とかで「瞬殺」されたそうで、入手不可能のプラチナチケットと化してしまったようです。寝台券の件はともかく、特急「はやぶさ・富士」や特急「北陸」及び急行「能登」の時と同様に、車両の老朽化だけでなく平日の乗客数も少なかったんでしょう。と推測する以外に定期運行取りやめの理由が見当たらない。どうかすると来年か再来年あたりには「車両老朽化により臨時列車としての運行も取りやめ」ってなことになるのでは、と勝手に予想しているけれどどうなんだろう。JRグループ発足後、多客期臨時列車に「格下げ」された列車が定期列車に「格上げ」された例って聞いたことないしねぇ。
それはともかく、JR西日本公式サイトを見ていたら、2月20日付けで「『ありがとう日本海号』限定商品の発売について」というお知らせが出ていた。内容を読んでみるとこれがまた何とも……。

駅弁ってそんなに売れなくなりましたか?

具体的な内容については前記引用文中のリンク先を参考にしていただくとして、これがおかしいんですよね。疑問に思う箇所は以下の2点。

1.なぜ途中区間の「JR西日本金沢支社」が音頭を取る?

まず不思議なのは、この「便乗商法」の音頭を取るのがJR西日本金沢支社であることだ。本来なら始発駅の大阪駅を管轄するJR西日本大阪支社が音頭を取るべきではないのか?
実は特製掛け紙付き駅弁は「敦賀、福井、加賀温泉、金沢、富山、糸魚川」各駅の駅弁店舗限定となっている。JR東日本線内の停車駅はもちろんのこと、大阪駅や京都駅でも特製駅弁の取扱はないのである。特急「日本海号」の各駅における停車時間を考えれば、大阪駅や京都駅から、あるいは青森駅秋田駅から乗車した乗客が、金沢駅富山駅でわざわざ降りて駅弁を買うとは想像しにくい。むしろ大阪駅や京都駅で特製駅弁を売る方が売れ行きはいいのではと思うのだが……。
一方、日本海号車内限定ますのすしの販売は青森発大阪行き上り「日本海号」の金沢駅敦賀駅間のみで、下り日本海号の同区間では販売がない。恐らく、だが上り「日本海号」の乗客の「朝食」を狙っているのだろうと思う。下り「日本海号」の敦賀駅到着時刻は19時41分、金沢駅到着は21時29分で、金沢駅に到着した時点で乗客はあらかた「腹一杯」のはずなのだから。だから車内限定ますのすしの販売についてはまだ「真っ当な」売り方と言える。そしてそれがゆえになぜ「大阪支社が音頭を取らないのか」という疑問符が残る。それとも私が情報を見逃したか?

2.なぜに駅弁? 何で駅そば?

そもそも「ありがとう日本海号」限定商品が特製掛け紙付きの駅弁や日本海号をイメージした駅そばである、理由は一体何なのか? よく考えていただきたい。日本海号は「運転終了」ではなく「臨時列車になるだけ」だ。まだ運転は「続けられる」のである。ならば普通に特製ポストカードでも売っておけばいい。それなのにポストカードなどではなく敢えて「駅弁」に走る理由。なぜ?


実は2番目の疑問点を考えていて、ふと思い出したことがあった。2010年春に営業を終了した大阪の老舗弁当会社「水了軒」の破産申請だ。

八角弁当」「大阪寿し」などの駅弁で親しまれていた大阪の老舗弁当会社「水了軒」(大阪市淀川区)が破産申請の準備に入ったことが20日、分かった。事業停止し、近く大阪地裁に破産申請する見通し。JRの駅構内や百貨店などで弁当を販売していたが、コンビニ、同業他社との競合などで売り上げが減少。民間の信用調査会社によると、負債総額は約3億3000万円とみられる。
http://www.sponichi.co.jp/osaka/soci/201004/21/soci218981.html

もしかして、と思った。デパートで「全国駅弁大会」が開かれるとものすごく客が集まる。京王百貨店で毎年行われている「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。2011年の大会では13日間で約40万個を売り、6億7700万円の売り上げがあったという。しかし逆に考えると、デパートのイベントでそれだけ売った、では「本業」の駅ではどうなの、と。阿部商店の名物「いかめし」でもあるまいし、水了軒の例と同様にコンビニと競合して売り上げが落ちているのではないか? だいたい、北陸本線沿線で富山名物「ますのすし」以外に有名な駅弁ってあったっけ? ……などという話になっていく。
もしかしてこの機会に「駅弁の知名度」を上げたいのではないか? まぁこれまた私の妄想でしかないのだろうけれど、まさかそんなことが今回の「便乗商法」の裏に隠されているのだったら、それは筋違いだろ、ならば新しい駅弁を一つでも開発して売り出せと言いたい。そうでなければもはや生き残れない。コンビニの弁当ですら、常に新しい商品が生み出されていくのだから。
……ということを書いて3ヶ月ぶりの更新は終わり。さて、もう一つ言及したいネタがあるのだけれど……これは3月に入ってからにしますか。