テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

フリーきっぷまで復活させた「豊川稲荷周辺の商店」の意図



もりくち氏が「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」12月11日付に、「無期限休止となる博物館明治村蒸気機関車京都市電に乗りに行ってきた」(http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20101211/p1及び翌日付)と書いておられた。けれどその12月、豊川ではこんなことが起こってました。名鉄よ、豊川商店街を、愛知県人を舐めてかかってただろ?

 名古屋鉄道では、このたび豊川市とタイアップし、日本三大稲荷の1つで“とよかわ”を代表するパワースポット 「豊川稲荷」の散策をお楽しみいただく新キャンペーン「とよかわ開運キャンペーン」を、2011年1月1日(土・祝)〜2月28日(月)まで実施します。
 これは、「名鉄グループ中期経営計画」(2009年度〜2011年度)の重点テーマのひとつ「交通ネットワークの充実」を図るための施策の一環で、沿線地域とのより一層の連携強化を目的として実施するものです。
 同キャンペーンでは、豊川稲荷の境内や周辺の飲食店・お土産店を紹介したマップが掲載された「キャンペーンパンフレット」を名鉄主要駅および豊川市の公共施設などで無料配布し、同パンフレットを使用した「豊川スタンプラリー」を実施します。
「〜神秘に満ちた散策道。〜 「とよかわ開運キャンペーン」を1月1日(土・祝)から実施します」名鉄公式ホームページより)

このページで言及がある「新春1DAYフリーきっぷ」って、実は一度発売終了となった同名フリーきっぷの復活版だったりします。

正月三が日以外にも参拝者が欲しい豊川稲荷参道商店街

 愛知県豊川市豊川稲荷と稲荷周辺の20店舗の協力で、名古屋鉄道のフリー切符が復活する。フリー切符は2005年に廃止、豊川への来訪者減少の一因とみられていた。復活を機に、市観光協会は「来訪者増につながれば」と期待する。

 名鉄豊川稲荷駅の利用者数は04年に42万人。フリー切符廃止などで05年は25万人に激減した。地元の要望を受けた観光協が2年前から名鉄と復活を交渉していた。
「名鉄フリー切符、豊川の要望で復活」中日新聞2010年12月26日付社会面より)

最寄り駅である豊川稲荷駅の乗降客数が、新春1DAYフリーきっぷ廃止前の2004年と廃止後の2005年で17万人も違ってたら、そりゃあフリーきっぷ廃止による影響を疑うに決まっている。でも一度廃止したフリーきっぷの復活なんてどこの鉄道会社もやりたがらない。「発売を終了する」のは「発売にかかる経費に対して発売枚数が少ない」から、すなわち「鉄道会社にとって割に合わない」からやめたということ。それを豊川市までもがでしゃばって復活させたのはなぜなのか。そもそも「まる乗り1DAYフリーきっぷ」ではダメなのか。
実は豊川稲荷の参拝者は正月三が日に特に集中する。正月三が日を過ぎるとそうもいない。更にもっと外すとこんな感じ。

2007年1月13日付の日記に書いたけれど、これでもまだ参拝者はいた方なんです。2月とか3月とか祭礼がない時期に行くと、如何に普段の日の豊川稲荷周辺が寂れているかがよく分かる。豊川稲荷伊勢神宮熱田神宮みたいに常時参拝者がいるわけじゃないのです。そして当然の事ながら、参道沿いの商店なんか普段から寂れたような状態だともうやっていけない。豊川市にとっても豊川稲荷及び参道商店街は観光の目玉、というかほぼ唯一の観光スポットなので、「正月三が日以外は寂れている」というイメージの定着だけは避けなきゃならない。だから今、豊川市や市観光協会などが市内の商店と手を組んでいろんな事を始めている。オリジナルのいなり寿司を売り始め、B級グルメの全国大会である「B−1グランプリ」にオリジナルのいなり寿司を出品し、昨年(2009年)にはゆるキャラ「いなりん」まで登場させたのも、普段の日にも客に来て欲しいからです。それを考えていくと、今回「新春1DAYフリーきっぷ」の復活を豊川市観光協会名鉄に直談判してまで求めた理由が分かるのです。
「新春1DAYフリーきっぷ」は大人用が一枚2500円。これと同価格の「青空フリーパス」(JR東海が発売)は、土曜・休日と12月31日から1月3日までのいずれか1日のみの利用で、今年の場合だと1月4日以降7日まで発売がない。一方で、名鉄が通年発売している「まる乗り1DAYフリーきっぷ」は3000円(大人用・一枚あたり)で、「新春1DAYフリーきっぷ」や「青空フリーパス」よりも500円高い。「まる乗り1DAYフリーきっぷ」では「10時から16時まで特急特別車(指定席)が利用できる」けれど、豊川稲荷行き特急は平日の一往復のみ。それ以外の時間帯においては乗り換えが必要になるのです。だから豊川市観光協会、というか豊川稲荷周辺の観光事業者にとっては、特急特別車が利用できる「おまけ付き」フリーきっぷよりも、少しでも安くかつ正月三が日以降も発売が継続される「乗車券のみのフリーきっぷ」が欲しかったんだと、私はそう思うんです。

「とよかわ開運キャンペーン」で豊川稲荷周辺の商店に客は来るか?

最初に引用した「とよかわ開運キャンペーン」のお知らせにも書いてあるけれど、1月17日以降も特典付きフリーきっぷ「いなり寿司食べ比べ!豊川1DAYフリーきっぷ」が出ます。今まではこんなことなどなかった。「新春1DAYフリーきっぷ」で一度呼び込んで、「豊川1DAYフリーきっぷ」でもう一度豊川稲荷に足を向けさせる。特典は豊川稲荷周辺の商店限定ですから、「豊川1DAYフリーきっぷ」を買った人は必然的に豊川稲荷へ足を運ぶことになる、と。豊川市豊川市観光協会も、そして豊川稲荷周辺の商店もそういう皮算用なのかな。心配なのは「豊川1DAYフリーきっぷ」に子供用の設定がないことと、そこまで露骨にやるとお客は却って引いてしまうのではないかということ。果たしてこのキャンペーンで1月中旬以降も豊川稲荷やその周辺に客は来るのか、それとも何かまだ欠けているものがあるのか。それが分かるのはキャンペーンが中盤に差し掛かる2月以降でしょうか……と書いたところで、本日の日記は終わり。
ところで私、今年の年始はどこに行こうかと悩んでます。何しろ手元に金がない。快速「ムーンライトえちご」に空きがあるので1月1日から4日まで北陸・信越方面へ行ってみるかと思ったり、あるいは「伊勢路フリーきっぷ」を使って一泊泊りがけで伊勢まで行ってみるかとも考えてたりしますが……。