テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

第3セクター鉄道会社の再生策は「萌え」と「その手のヲタ」狙いのイベントだけか?

しばらく某議員とブログ上で「西尾・蒲郡線」の話とかしてたり、あるいはその絡みで沿線の動向とかネット上で探ってたりしてたんだが、その間にまたもやとんでもないネタが降ってきたようだ。そしてそのネタを捕まえたのはまたもやもりくち「先生」……さすがですorz。

 ここ2週間ほど、ずーっと僕の心を捉えて放さない臨時列車の企画があった。

 その名は「あいづコストレ」(「「あいづコスプレ・トレイン」」とも)。会津鉄道が企画した列車だ。
参加者が伸び悩んだ会津鉄道「あいづコストレ」と地域活性化への「努力」‐「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」2009年10月2日付)


イベントの中身については公式HP(http://www.costrain.com/index.html)、その結末についてはもりくち氏のブログ記事でも引用された

を見ていただければ分かる。9月1日にHP立ち上げ、9月25日に報道各紙へ「情報提供」、その結末が参加者たったの20人、というお寒さ。使用車両(8500系)は私の記憶が間違っていなければ、名鉄から譲渡された旧北アルプス号。2両編成のうち1両をまるごとレイヤー専用車としたのだから、100人ぐらいは1回で乗車できたはずだ。もりくち氏のおっしゃる通り。寒い、寒すぎる。

同人イベントの企画・運営業者が主催しないから、告知も行き届かない。

  • 告知が遅すぎる
  • 歴史系コスプレイベントというもの自体がマイナーすぎる
  • 参加料が高すぎる
  • そもそも撮影に不向きな鉄道車両でのコスプレイベントなんて、需要がない

ともりくち氏が指摘しておられるが、確かにこれだけ見事に重なれば参加者なんか来るわけない。もともとコスプレイベントは広い会場でやるものであって、鉄道車両を1両開放してまでやるような性格のイベントではないからだ。しかし和装系オンリーコスプレイベントってのは全く開催されていないのか、というとこれがそうではない。「ぱれくらTHUNDER!5th inえさし藤原の郷」ってイベントで、今日(10月3日)行われるらしいんだわ。場所は奥州市歴史公園えさし藤原の郷、イベントの公式HP(http://cmcrush.net/pacr/)もある。
一番の問題は、主催者の名に同人イベントの企画・運営会社がなかったこと。つまりこの手のイベントについてはノウハウをしっかり持っている同人イベントの企画・運営会社が表立って絡んでいない。もし表立って絡んでいるイベントなら、開催が決定した段階で同じ業者が主催するイベントでは告知パンフレットが大量に撒かれる。これ、一番効果があるんだ。
もっと時間をかけて、同人イベントの企画運営会社と協議すべきだった。内容を見直してまたやりたい、と『ネコ駅長「ばす」の日記には書いてあるけれど、よっぽどうまく運営しないと立ち消えするよ、このイベント。個人的には「大量に和装系レイヤーが専用列車に乗り込んで、大内宿で大撮影会+会津地方の歴史系スポットをどう観光に生かしていくかシンポジウム」……ああ、これは三陸鉄道の例のイベントと一緒か。


ところでまさかこのイベント、参考にしたのが名古屋の「世界コスプレサミット」、なんて言わないよな? 公式HP(http://www.tv-aichi.co.jp/wcs/)を見てもらえば分かるとおり、「世界コスプレサミット」はテレビ愛知主催のイベントである。元々はテレビ愛知が特番放送のため、海外でコスプレにはまる若者らを名古屋に招待したのが始まりで、その番組が好評だったから「コスプレの一大イベントを名古屋で開けばいい」ということになった、それだけの話。

会津ぐるっとカードだけである程度「観光客」は確保できていると思ったんだがなぁ。

この会津地域には「起爆剤」が一つ存在している。現在(2009年10月現在)も販売が続けられている「会津ぐるっとカード」がそれだ。

会津ぐるっとカード」は、会津地域の広域観光の推進と地域の公共交通の活性化の観点から実現した夢のカードです。
会津ぐるっとカード」の提示により、?利用エリア内のJR線・会津鉄道会津バス・磐梯東都バス・まちなか周遊バス「ハイカラさん」が2日間乗り放題となるほか、?観光施設や宿泊施設・飲食店などの割引きサービスが受けられます。
(公式HP:http://www.aizukanko.com/aizucard/index.htm

国土交通省東北地方整備局及び東北運輸局が作成した「地域いきいき観光まちづくり2008」東北版(http://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/puresu/ks080129.pdf)によると、年間6000枚の売上実績があるという。月500枚と販売枚数が振るわないのは、恐らく価格が大人用2600円、子供用1300円と高いからだろう。中身は相当すごいもので、JR、会津鉄道会津バス、磐梯東都バス、まちなか周遊バス「ハイカラさん」の指定区間を連続2日間利用することができ、しかも観光施設だけでなく飲食店での割引特典やホテルの宿泊料割引もついた。うまくバスとか電車とかで移動できればかなり使える。
この「会津ぐるっとカード」は実は東北地方整備局及び東北運輸局の「鳴り物入り」で始まった。かつては「社会実証実験」の一環としても使われた。だから意外と短命に終わるかな、とは心の片隅で思っていた。ところが平成19年11月1日よりローソンオンライン発券端末「Loppi」で引換券の購入が出来ると知り、これはもしかして参加する各鉄道会社の乗降客数が増加したかな、とも期待していた。だがその約2年後……会津鉄道「までも」がその手の「筋」を狙った(ような)イベントを企画し、そして実行してしまった。たかだか500枚程度では乗客数への影響はたかが知れてるってことか。未だにPR不足だもんな、このきっぷ。
ちなみに同きっぷを最後に使用したのは2004年8月。喜多方の名店「源来軒」で朝食にチャーハンを食い、会計時に会津ぐるっとカードを見せたら、レジのおばちゃんが懸命に電卓を叩いて割引後の価格を計算していた。旧型のレジで「何割引」の機能がなかったらしい。その旅行で他に何をしたのかはid:tetsumogura:20050918:p1に回想として書いた通り。

のと鉄道までもが「鉄道むすめ」フィギュアに「期待」しているようでは……。

会津鉄道はさらに、10年前から芦ノ牧駅に住み着く猫を昨年「駅長」に仕立て上げ、関連グッズの販売を始めている。最近はクッキー、とくる(クッキーの顔に猫駅長、会津鉄道PRに一役‐読売新聞2009年10月2日)。和歌山電鉄の「たま」駅長人気にあやかりたいのは分かるが、しかし「住み着く猫を駅長に→関連グッズ販売」って安直過ぎやしないか? ていうかなんかこう、各社が打ち出すイベントにオリジナリティーがなくなってきた。みんながみんな同じような方向性で考えている。のと鉄道もそう。

 のと鉄道(七尾―穴水駅間)の運転士の制服を着たフィギュアが全国発売され、穴水駅売店で限定販売した80個もほぼ即日完売する人気となっている。
のと鉄道の制服姿フィギュア発売‐読売新聞

またもや「鉄道むすめ」。しかも

 路線縮小に加え、一昨年には能登半島地震に見舞われた同鉄道が「明るい話題を提供したい」と採用を働きかけた。「“看板娘”がきっかけになり、列車にも乗ってもらえれば」と同鉄道は期待を寄せていた。
(同記事より)

って記事には書いてある。のと鉄道側のコメントが鍵カッコつきで載るってことは、そういう意味合いの発言を営業担当がしたってことだ。さすがに「イベント」にまで「和倉ななお」を登場させる気配は今のところなさそうだが、今後どうすうかはまだ全く分からない。でも期待しても乗客数の増加に対してあまり効果がないことは、強力に「久慈ありす」をプッシュしている三陸鉄道の事例で既に証明済み。のと鉄道の担当者はそこにいつ気づくんだろう。


まともに乗客と向き合って商売しているところが少数派のように見える。乗客獲得が目的なら、まずは沿線住民としっかり話し合いの場を持つことだ。第三セクター線なんか沿線住民の利用がなければ乗車率なんて上がらないのに。そこら辺を素通りして「外部からの客の獲得」に動くとろくな事がない。ああ、もちろんJR線からの直通列車が路線内を通り抜けるところは除くけれど……某三重県の路線とか。