テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

名鉄三河線「知立〜碧南」間の廃線危機を救うのは、意外にも7100&7700系だったりして。

7000系ラストランイベント参加記録についてはid:tetsumogura:20090903を。

どうしてももう一度碧南に行っておきたかった。

実は今年中にもう一度碧南へ行っておきたかったのだ。理由は三つ。

  • 「藤井達吉現代美術館」なる市営の美術館があるそうだ。
  • 「九重味醂株式会社」の醸造蔵がこの街のどこかにあるらしい。
  • 7100系と7700系がまだ定期運転の用途に使われているそうだ。

二つ目はクリアできるかどうか分からなかったが、後の二つは何とかクリアしておきたい。7000系ラストランイベントに行った帰り、まだ時間があったのを確認して、今度は知立駅へと向かった。知立駅からは名鉄三河線南行き普通に乗り込む。
名古屋本線であれだけの大混雑が発生したにもかかわらず、こちらはのどかな感じ。知立駅出発時には乗客は結構いたのだが、途中の刈谷駅でかなりの人が降りていき、その先の駅でも少しずつ降りていって、結局終点の碧南駅で降りたのは数十人程度だった。駅を出て昨年12月26日に撮影をした同じ場所へ向かう。

ちなみに昨年12月26日に撮影したのが以下の画像。

明らかなまでの変貌ぶり。工事現場へ向かうと、入り口の仮設フェンスに施工者や工事業者などの名前を記した表示板が掲げてあった。それを見る限りでは、どうやらここには岐阜に本社がある(確か)「バ」の付くスーパーマーケットができるようだ。市の主たる機能は碧南中央駅に集中してしまい、このまま行くとこの駅前は単なる住宅地になってしまうかも……と12月26日に来た時にはそう思った。商店街にとっては少々痛い目に遭うかもしれないが、街の活性化という点ではかなりの効果が期待できる。少なくとも「ピ」の付くお店が誘致されるよりはずいぶんマシになるだろう。
まぁどうなるかは将来の話なので遠くに投げやっておく。道路をそのまま先に進んで、片側一車線の道路に出たところで右へと進んだ。交差点を渡ってそのまま直進した。しばらく進むと魚屋があって、その先にもう一つ交差点があった。そこを越えると漁港が見えてきた。もう少し進む。すると右手に看板が一つ。

あらぁ、意外だったね。家に帰ってから「アトラスRDX東海道路地図」を開いて探すと、碧南駅と藤井達吉現代美術館、九重味醂株式会社の醸造蔵は場所的に近い位置にあることが分かった。実は駅前にも観光案内地図板があったのだが、それを見ずに適当に歩いたんだよな。

港は正式には「大浜漁港」と言うそうで、同じく地図を調べたら魚市場もあることが分かった。今度来る時は金曜日にしようか。

九重味醂醸造蔵は意外にも名鉄碧南駅に近い。


そんなわけで、看板の指示通りに歩くとそれっぽい建物が見えてきた。外壁の上の方には確かに「九重味醂株式会社」と書かれた看板がかかっている。さすがに日曜日は会社もお休みみたいで、門は閉まっていた。門越しに敷地内のタンクを撮影してみた。

道の先を見たが正門はそちら側にはなさそうだ。一方で、細い路地が碧南駅方向に向かって続いている。もしかしてこの路地に正門が面しているのかなと思い、歩いてみた。すると途中から塀が黒塗りの板塀に変わった。ああ、こっちで正解だ。

正門までものの数分もかからなかった。下の画像はその正門。ていうか木製の表札を掲げてるんだから、間違いなく正門だろ。

その先へと進むと、近くに比較的最近据え付けられたと思われる観光案内板があった。何でも、この九重味醂株式会社の土蔵は醸造開始時から今までずっと現役で使われているそうだ。私は個人的に、その土蔵よりも看板の方に目が行ってしまった。「三河みりんのふる里」ってでっかく書いてある。ちなみに碧南には味醂醸造元が他にもまだあるらしい。

「藤井達吉現代美術館」、常設展示自体は無料?


九重味醂醸造蔵を過ぎて道路に出ると、向かい側に「碧南市藤井達吉現代美術館」があった。碧南市出身で美術工芸家として数多くの業績を残した藤井達吉。しかし画廊等に売り込んだりしなかったため、その功績は野に埋もれ、最近になってようやく彼の作品が見出され始めたという。常設でコレクションの展示を行うのは恐らくここが唯一ではないかと思う。

碧南市藤井達吉現代美術館」公式サイト:
http://www.city.hekinan.aichi.jp/tatsukichimuseum/index.html

展示の内容については上記公式サイトを見ていただくとして、実際に観覧して驚いた。碧南市が藤井達吉の功績を盛んに取り上げようとしているのは分かるが、年4回に分けて行われる常設展示が、いずれの回も無料で行われているとは思わなかった。200円くらい取るだろうと思ったのだが、取ったのは企画展の部分だけ。少なくとも今年度分の常設展示はいずれも無料としているそうだ。一方、その企画展は内容により無料だったり有料だったりするそうだが、今回行われた愛知県美術館所蔵品展「戦後の日本画」に関しては、大人観覧料は200円とむちゃくちゃ安かった。いや、安いならその分展示作品数も少ないだろうと思ったのだが、これが大間違いで30点前後出品されていた。7月7日から8月30日まで30点貸し出し。すげえじゃん碧南市。しかしそれだけのことをしているのに、最終日の夕方、もっと入館者があってしかるべきだろう……努力が報われていないように感じるのは私だけか?
地下の展示室も見て、そして同美術館を出た。喫茶室でコーヒーでも飲んでから行こうかとも考えたけれど、最後の一つが残ってる。

車両番号7000番台はまだこの三河線で運用中だ!

碧南駅に戻るとまだ知立行き普通は来ていなかった。デジカメを取り出して碧南中央駅方向へ構える。ふと線路脇に目を向けると、子供が二人、すぐ近くでじっと同じ方向を見ていた。「いや、そこ電車来るから危ないよ」と一声かけると、子供たちは線路から離れたところへ歩いていった。テツヲタの一部が取る行動を真似してはいけません。

デジカメからα303siに替えて、線路の向こうにレンズを向ける。しばらくして向こうから列車がやってきた。シャッターを切った後に「これはどっちなんだ」と思った。デジカメに持ち替えて、後追いみたいな形で列車の動きを追いつつそのまま振り返る。ホームに停車した瞬間を狙った。が、扉が開いた直後、カメラを持った撮り鉄が一斉に出てきて、前で撮影を始めた。その向こうで行き先表示板が裏返される。あちゃー、大事なシーンを逃してしまった。まぁ、チャンスはまだ来るからあせる必要はないか。車体番号を見て、これが7700系であることを確認し、改札口側から撮影した後にそのまま乗り込んだ。

扉が閉まり、列車が動き出す。7000系と同じ独特のモーター音。車内のシートも7000系特急用シートと同じシートだ。いやいや、もっとレトロなのは、

7000系伝統の片開き扉。これが閉じる瞬間を撮影したのが次の画像。

プシューという音を立てて勢いよく閉まるのだが、これが何ともレトロで、でもなぜか斬新な感じがする。

途中、某駅で反対電車の行き違い待ちのためしばらく待機した。荷物を持ち、外に出て待っていたのだが、来たのは何と7100系。うわぁ、もっと遠くのポイントから撮影したかった(T^T)。リベンジ決定(何を?)。

ところでこの路線では車両番号6000番台の編成も定期運行の用途に使われている。7700系と他の車種とは区別が付くが、6000番台各車と7100系は外から見ただけではど素人には判別しにくい場合がある。側壁外板の車両番号を見れば一目瞭然だが、それ以外にも確実に分かるポイントが一つ。それは、7700系も7100系も7000系と同じく扉は各車両に二つづつ(両側で4つ)だということ。6000系だとこれが片側3つで、撮影していても側面さえ見えれば間違いなく分かる。後は独特のモーター音。それ以外にも細かいところを見ればいろいろ違いがあるらしいから、そこら辺は各自でちょっとネット検索してもらって(以下略)。

最後に


そんなわけで、そろそろ夕暮れ時となった。この2編成4両7100系及び7700系全部が定期運用、あるいは運用そのものから引退する時が来たら、今度はこの三河線碧南駅のホームが本宿駅のように撮りテツで埋まるんだろう。だがそれまでに、この2編成には一働きも二働きもしてもらわなくては困る。
今、この三河線知立〜碧南」間は名鉄から「このまま乗客数が伸び悩んだら廃線もありうる」と、事実上の最後通牒を突きつけられた状態に置かれている。廃線になれば一番困るのは地元の住民であることは言うまでもない。特に刈谷〜碧南間の沿線住民は廃止されると鉄道という確実な移動手段を失ってしまうのだ。沿線自治体の関係者が手を打ち始めているが、「8月30日、日曜日の夕方」で乗車率があの状態では非常にこの先も心もとない。で、今回の「7000系ラストランイベント」を実際に見て、ふと考えたのが7000系から派生した7100系及び7700系というこれら2編成の活用だ。この2編成は7000番台を付与された最後の編成であり、名鉄線内を現役で走る車両では最古参の部類に入る。これを利用促進に使わない手はないと思うんだが。
もしこの先、この7700系と7100系が碧南駅や三河高浜駅で並ぶシーンがポスターに使われたら、街に張り出した翌日からまず鉄道ファンより何か反応が返ってくると思う。現地限定、例えばあの「藤井達吉現代美術館」で売り出したら、購入したい鉄道ファンは否応なく碧南駅の改札口をくぐらされることになる。これはこれで面白いかも。あるいは貸し切り列車という手もある。運行するなら、九重味醂と組んで「ビール電車」ならぬ「焼酎電車」なんてやったらまたそれはそれで面白そう。特製ヘッドマークを付けたら撮り鉄もこごってやって来るだろうから、これまたいい宣伝になると思う。
まぁ、実際沿線自治体がこの先何をするのかは全くわからない。ただ、駅の改札口を確実に通る利用者が増える方法を取らないと、間違いなくこの区間は廃止になるし、そうなれば町の活気も消える。それで困るのは沿線住民。大多数のテツは廃止日当日にやってきて、撮影して、それでハイさよならだから。