テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

7000系パノラマカー、これで本当に全車引退。

佐久間レールパーク」へ行くつもりが、大ドジ踏んで(以下略)。

当初はこんなことするつもりはなかった。忘れないうちに「佐久間レールパーク」へ行っておこう、と考えていた。いや、ホンマですわ。


今回のネタは「パノラマカー最終運行が8月30日」と名鉄から発表されたことから始まる。老朽化と新車投入のため全車営業運転から外すことが決定していた7000系パノラマカー。その最後の一編成4両が8月30日をもって営業運転を終了することとなった……って話は既に何ヶ月も前から出ていたが、ラストランの運転経路だけがいつまでたっても公表されなかった。結局正式に名鉄公式サイトで発表されたのは私が旅行に行く前日、8月7日。8月1日ではなかったのは、何か恣意的なものを感じるのだが。

豊明駅 本宿駅 伊奈駅 本宿駅
12:41発 13:16着・13:56発 14:09着・14:13発 14:26着

(上記、公式サイトの「ニュースリリース」より転載。はてなダイアリー記法により見た目修正済み)

本宿駅は最後の停車駅に加え、東岡崎駅幹事駅長の出発合図が行われることもあって、平成20年12月26日のあの神宮前駅の混乱ぶり以上に混雑するだろう。しかし他の駅や沿線も鉄道ファン、というか撮り鉄で埋め尽くされている可能性が……。まともに撮れない可能性が高いなら最初からやめた方がいい。そんなわけで8月30日当日は、かねてから一度は行っておきたいと考えていた「佐久間レールパーク」へと向かった。自宅出発は10時40分頃、っておい。
飯田線を全通する列車の本数が非常に少ないことは、鉄道ファンならよくご存知の話。ほとんどの列車が本長篠駅新城駅、もしくは豊川駅止まりであり、10時43分豊橋駅天竜峡駅行きの後は13時43分発までない。そしてこんな時によりによって佐久間レールパークの入場締め切りは15時30分。間に合わないのは明らかだった。予定変更、こうなったらその「ラストラン」を見届けてやろうじゃないか。
名古屋駅で「まる乗り1Dayフリーきっぷ」を買い、フィルムを名古屋駅ホームの売店で入手し、そして特急豊橋行きに乗り込んだ。まずは折り返し点である伊奈駅まで、沿線の状況を観察していくことにした。今回の話は長くなるので、「続きを読む」記法を使わせていただく。

伊奈駅、12時。まだ撮り鉄の姿は少ない方。

来たのは1000系パノラマスーパー。まる乗り1Dayフリーきっぷでは10時から16時までに乗車した場合に限り、特急特別車の指定席が利用できる。1号車の階上席には既に「先客」がいたが、「同じ穴のムジナ」ではなく親子連れだった*1。先客を押し退けてまで座ってもいいという権利はこのフリーきっぷには付いていない。同じ1号車に空席を見つけたのでそこに座った。
外を眺めていると特急はいよいよ問題の走行区間へ。豊明駅、知立駅新安城駅、そして東岡崎駅……おい、何だあの暇人の数は。愕然とする。東岡崎駅3・4番ホームにいたあの撮り鉄は一体いつから来てるんだろう。さらにその先、美合、藤川、名電山中、そして本宿駅と特急は通過していく。各駅ホームの先端部分には共通して三脚が塊のように連なっていた。沿線の一般道や田畑の間の道にもお約束のごとくずらりと三脚が立ち、本宿駅を通過した後の「国道一号線併走区間」でも、側道の歩道上に三脚を立てて待っている連中がいた。その光景は非テツには異様とも映っただろう。一瞬、「ここで地元の警察に通報したら面白いことになっただろうな」と悪魔のささやきが聞こえたが、こういう時は実際にやってもたぶんまともに取り合わないと思う。ほうっとけ。
特急は国府駅に停車した。普通伊奈行きで伊奈駅へ向かう。乗り換える間際に1・2番ホームを見たが、案の定そこにも撮り鉄が多数いた。

伊奈駅に着いてすぐ、ホーム上を見渡す。ここにもいたが、まだ国府駅の方が多かった気がする。きっと私が去ったその後から一度に押し寄せたんだろう。それはともかく、一度改札から外へ出てみる。駅前を歩いてみようかと思ったが、残念ながら時間がない。跨線橋の窓越しに豊橋方の線路を撮影しただけで、そのまま次の急行で東岡崎駅へ戻った。

東岡崎駅、13時前。3・4番線ホームは私の予想通り。

急行で東岡崎駅へ戻る。ホーム上の撮り鉄も沿線の撮り鉄も、先程来たより幾分増えたような気がするが、気のせいか? 車内では折りたたみ自転車を携行する二人連れと少しだけ話をした。「沿線でパノラマカーのラストランを見ておきたい」と言っていたが、果たしてちゃんとあのパノラマカーに出会えたんだろうか。まぁ人の心配はともかく、東岡崎駅には大幅な遅れなく到着。最初は、到着した1・2番ホームの先端から狙おうとカメラを構えたのだが、どうも詰所の建物が邪魔で仕方がない。
反対側に移動してみるが、ホーム先端は既に撮り鉄で埋まっている。場所を探し、ホーム中央にまだ数人しかいない場所を見つけた。先にいた人に声をかけ、後ろで待機していた人にも一声かけておく。

名鉄線内ではだいぶ置き換えが進んできた「反転フラップ式発車案内板」、別名「パタパタ式発車案内板」。12時52分発急行豊橋行きの次が「通過」となっているが、これが臨時列車「ありがとうパノラマカー」号。そして急行豊橋行きが通過してから待つこと数分。臨時列車「ありがとうパノラマカー」号が3番線を通過していった。α303siで一枚。そして即座にカメラをデジカメに持ち替えたが、AFが瞬時に反応せず、その間に通過してしまった。慌てて後追いでシャッターを切るが、時既に遅し。

撮影サイズを「700万画素」に設定しておいたのは幸いだった。5倍まで拡大してトリミングしたのが下の画像。その場にいた利用者まで「にわか撮り鉄」にしてしまうとは、パノラマカー恐るべし。

発車案内板を見ると、特急が次に来ると分かった。ならば先行する「ありがとうパノラマカー」号を追い抜くはずだ、と。来たのは「ミュースカイ」型だったが、迷わず乗り込んだ。
出発してすぐ、同じく乗り込んだ撮り鉄とともに、運転室の窓越しに外を見た。すると予測どおり、途中の駅で7000系が待避していた。ちなみに今回掲示された行き先表示板は、デビューからこれまでに運転された日数が書かれた「特別仕様」だった、と名鉄ホームページ「ありがとうパノラマカー」特設サイトで知った。くそう……。

国府駅で撮影を試みる。

特急は駅を次々と通過していく。どこも先程来た時より明らかに「同じ穴のムジナ」が多く集まっていた*2。確か「藤川〜名電山中」間だったと思うが、豊橋方面に向かって右側に田畑がずっと続いている場所があったはず。そこの道に横一列に三脚と路上駐車した車がずらーりと並んでいるのを見て、正直、呆れた。定番の撮影ポイントの一つとは聞いていたが、路駐……いいのかそれ? 国道一号線との併走区間では、側道と歩道とを仕切る安全帯というか植え込みというか、そんなところに三脚を立てて撮影する撮り鉄の姿も見たし、踏切から身を半分乗り出している連中もいた。駅ホームは何とか人手を出して整理をしても、駅間についてはさすがの名鉄も諦めた様子。
特急は国府駅に到着した。すぐにホーム上を確認する。1・2番線側にも、また3・4番線にも「同じ穴のムジナ」、もとい、撮り鉄が多数いた。構図を決めるため、まずは3・4番ホームの中間付近で何枚か撮影した。それにしても毎回そうなのだが、三脚どころか脚立まで持ち込んでいる奴がいて、撮り鉄の執念には呆れ返るばかり。気のせいだったのかなぁ、ホームの端ギリギリまで身を乗り出していた奴もいたようないないような。駅員が散々「黄色い線の内側に下がって撮影してください」と言っていたが無視してたのか?
まぁ、そいつらのことは放っておいて、辺りを見回した。列車が到着するたびに周囲に撮り鉄が集まってくる。もっとじっくりと撮影できる場所がないかと、ふと隣の5・6番ホームを見た。意外なことにそこには誰も来ていなかった。どうしようかと思っていたらそちら側へ二人向かったのが見えた。「先駆者」の後を追い、急いで5・6番ホーム先端へ向かう。ホーム先端へ行くと、既に先駆者はカメラを構えて到着を待っていた。一声かけた上で間に入れてもらった。デジカメで何枚か撮ってみると、なかなかいい構図になりそうな印象だった。そのうち、後ろに数人ほど「同じ穴のムジナ」がやってきた。
2番ホーム上で駅員が、臨時列車が間もなく到着すると知らせに回った。待つこと数分。先頭車が本宿方面から姿を見せた。まずはα303siを構えて、ギリギリまで引き付けてからシャッターボタンを押した。続いてデジカメに持ち替えて撮影する。3番ホームへと列車は入っていく。が、絶好のタイミングだったにもかかわらず先頭部分が切れてしまった。

最後尾車両はほぼ立った位置に対して正面に止まり、これまた絶好の停車位置。停車中だった車両を手前側左に入れて撮影を試みる。残念ながら左側に人がいて、これ以上は左に振ることが出来なかった。

「ありがとうパノラマカー」号はこの後伊奈駅へと出発した。国府〜伊奈間は間に1つ駅があるだけだ。時間はあまりなさそうだが、もう少しいい場所で撮影したい。改札口を出て場所を探す。だがどこも電柱と植栽が邪魔になって撮影できそうにない。そしてそうこうしているうちに「ありがとうパノラマカー号」が戻ってきてしまった。

1番線に停車したのと、この時手前側のホームに入る車両が前の方に停まってくれたため、復活した白帯を何とか記録に残すことは出来た。すぐに跨線橋の階段を駆け上がる。視線の先には撮り鉄が何人かいた。窓の開口部に一眼レフカメラのレンズを差し込んでいたが、その窓の下が1番線なのは明らかだった。どうやら彼らは発車するところを撮影するつもりらしい。彼らの後ろについた瞬間、あの7000系独特のモーター音が聞こえるとほぼ同時ぐらいのタイミングで一斉にシャッターが切られた。彼らは何枚か連写してすぐにその場を離れた。他には誰もいない。編成が半分ほどポイント部を通過したタイミングを狙って撮影した。

特急で再度「ありがとうパノラマカー」号を追い越す。

無事去ったのを見届けて、改札口を通った。発車案内板で次に特急が来ることを確認し、三度目の「指定席車」利用を決めた。
やってきた特急の豊橋方1号車に乗り込む。階上席部分は私と「同じ穴のムジナ」でほぼ満席状態w。私はα303siをリュックにしまい込み、デジカメの画像をチェックし始めた。その間にも特急は駅を次々と通過していく。そしてある駅を通過した瞬間、撮り鉄が揃ってカメラを豊橋方に向けてシャッターを切り始めた。何事かと慌ててデジカメを構える。

うわぁ、なんだあのホーム上は。5倍に拡大してみる。

うわうわ、うわぁーっ、こりゃ岩倉駅のあの時の比じゃない。あの時は確かに2番ホームの犬山寄りは大混雑していたが、ホーム全体ではなかった。最後の最後でこんなのを見てしまうとは。ただ一言、本宿駅に行かなくってよかった。

よくぞ死人が出なかったな。

いやぁ、よくぞこのイベントの最中に死人が出なかったと思う。「撮影しようとして誤ってホームから転落し、列車にはねられ死亡」……って一番やだからね。7000系を引き取りに来た神様が最後に奇跡を起こしてくれたのか。いやいや、名鉄の職員が頑張ってテツを安全に誘導した結果が実っただけだろう。
とにかくこれで本当に7000系は全車両が営業運転から離脱し、少なくとも今年一杯はこんなパニック状態が起きることはないと思う。ただ、今後このようなことが二度と起きないとは限らないわけで……ええ、いますよねぇ、「そろそろ引退しそう」と噂されている車両が。それも7000番台の車両で。


(この項、2009年9月4日付け日記へ続く)

*1:スタンプラリーの参加者か、それとも子供をダシにしてパノラマカーを撮影しに来たのか、それは全く分からなかったが。

*2:非テツにしてみれば、今回のこのラストランでカメラ片手にパノラマカーを撮影した奴は、みんな「同じ穴のムジナ」で一くくり。