テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

リニア、迂回Bルートで開通させるなら費用は1兆円増加

前回:昨日付け id:tetsumogura:20090615

 JR東海は、東京―名古屋の25年開業を目指しているリニア中央新幹線の建設費について、長野県の希望に沿って南アルプスを北に迂回(うかい)するルートで造ると、直線ルートに比べて1兆円近く膨らむ、との試算をまとめた。近く自民党や同県に示し、同社が選んだ直線ルートへの理解を求める。

 直線ルートでの建設費は約5兆円。迂回ルートだと、南アルプスを貫くトンネルは不要だが、距離が60キロほど延びるうえ同県内の市街地近くでの用地買収も必要となり、コストがかさむ。施設の維持管理費の増加も避けられない、と同社はみる。

=「リニア建設費1兆円増 長野県希望の迂回ルートなら」(アサヒ・コム6月16日配信記事)
http://www.asahi.com/business/update/0616/TKY200906150367.html

やっぱりなと思った。これを全額長野県の負担とするなら、駅建設の費用と合わせ1兆円を超える金額が県の財政にのしかかる。そこまでして諦めさせてでも、JR東海は「南アルプス貫通ルート」にこだわりたいらしい。対飛行機で優位に立ちたいという意図がはっきりと見て取れる。
ここに「地下水脈への影響」と言ってくる新聞社はいないのな。

設楽ダム建設工事の過程で、工事事務所が「蓬莱泉」の醸造元・関谷醸造から影響の有無を問いただされ、水脈や水質の調査を始めた。

地下水脈への影響、という点をこれほどまでに言う理由は、実際に日本酒の醸造元からの指摘で水脈調査が行われた事例があるからだ。それも調査開始が昨年11月。対象は、建設中にもかかわらず未だに大揉めの設楽ダム。水質や水量への影響を指摘したのは、名酒「蓬莱泉」、予約でしか手に入らない「吟(ぎん)」や「空」の醸造元、そして今年の新酒鑑評会で金賞を受賞した関谷醸造だ。
この蔵元が使う仕込み水は山の中にある自社管理の湧き水を使用しており、これをパイプで仕込み蔵の方へ引き込んでいる。ところがこの水源のある場所は「ダムの堤体のほぼ延長線上、南に約600メートルの地点(アサヒ・コムの記事より)」だそうで、しかも満水時のダム湖面から200メートルしか離れていないという。水質だけでなく、ダム満水時の圧力で仕込み水の水量も変わるのでは、と関谷醸造側は心配しているという。

*『名酒蔵元「水は大丈夫か」 国、愛知・設楽ダム調査開始』(アサヒ・コム2009年1月18日配信記事)
http://www.asahi.com/food/news/NGY200901150018.html

設楽町にしてみれば、関谷醸造は「超・有名商品の製造元」。町には相当の法人税を払っているはずだ。もしここが「水質悪化したから醸造やめます、廃業します」って話になれば、税収の大きな柱を失うことになる。それどころか損害賠償請求を起こされれば、環境への影響評価をまともにやっていないってことがバレる。裁判でも恐らく負ける。賠償額は数千万単位では済まされない。言われて慌てて影響調査を始めたのは、酒蔵の仕込み水にダム建設工事の影響が及ぶなどとは一切考えていなかったからだろう。
そういう話があるので、リニア建設の際も工事による水脈への影響をきちんと調査すべきなのだ。


……赤石山系や木曽駒ケ岳山系の伏流水を仕込み水にお使いの酒蔵さん、分かってます?