テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

日常にほんの少しだけ「コスプレ」という名の非日常を

原画展のお知らせです。
私の地元、愛知県一宮市の駅リニューアルにあわせて原画展を開催させていただくことになりました。

トークショーもあります、お近くの方はぜひぜひお立ち寄りください。
原画展のお知らせ種村有菜オフィシャルブログ「苺*いちえ」2012年12月20日付)

種村先生、一宮に帰って来るんだ。でもその足で本町アーケード街まで行くってことはたぶんないでしょうね。そして「一宮コスチュームタウン構想」なるものが進行中であることもご存じないかもしれない。
この「一宮コスチュームタウン構想」、方向性は間違ってないと思う。だが個人的には「もっと対象層を広げるべき」と考える。例えば……『紳士同盟クロス』で乙宮灰音が着る普段着を売ってみるとか。

「一宮コスチュームタウン構想」は商売として成立するのか?

昨年の「一宮七夕まつり」最終日(7月29日)に「コスプレパレード」が開催され、前情報を知らずに訪れた人は驚いたと思う。あのコスプレパレードの開催には、「一宮コスチュームタウン構想」なるプランが絡んでいる。実はこれ、一昨年12月に一宮商工会議所が開催した「未来の一宮 創造プランコンテスト」の最優秀賞受賞プラン、『繊維の町からコスチュームタウンへ』が元となっている。
http://www.ichinomiya-cci.or.jp/souzouplan.html
鍵となるのは「コスチュームタウン」と称している点。すなわち、子供の「なりきり衣装」とか「大人がダンスで着る衣装」とかも含めて、「コスチューム用材料の生産、販売及び披露する拠点」を作り上げることがこの構想の目標だという*1
でもそれって服地の一大生産地があるところならできそうな気がするし、そもそも「ダンス愛好者+子供+コスプレイヤー」だけ相手にしても商売にならないと思う。やるならもっと幅広い人に受け入れてもらえる形を目指すべきではないのか? 歩きながらそう考えていて、ふと目にしたのが「種村有菜原画展」のポスター。
……漫画に出てくるキャラが着ている「普段着」は「コスプレ」のうちに入るか?

「あのキャラが作中で着ている普段着、絶賛発売中」

実際の作品中では、特に漫画やアニメの中では登場人物の普段着姿が描かれることも多い。それを「市販化」するとどうなるのか? つまりこういうことだ。

  • 「あのキャラが作中で着ている普段着」という、究極のコスプレを多数のブランドから発信する。そしてその発信拠点を一宮に作る。

例えば

  • 『新テニスの王子様』第1巻冒頭で越前リョーマが着ていた黒のトップス
  • To Loveる〜ダークネス』第2巻、蜜柑とヤミが街中で偶然出会うシーンで、蜜柑が着ているブラウス
  • 紳士同盟クロス』第3巻で、シーツを頭から被った乙宮灰音が東宮閑雅にそのシーツを取られた後、現れた彼女が着ていたキャミソールワンピース*2
  • 日本一有名なサラリーマン、「島耕作」の社長就任会見で着用していた、あの黒のスーツ

それらが実際に世に出たらどうなるのか? ただしこの発想には問題点もある。

  1. 商品化権の問題をクリアしなければならない(アニメ化の際、「製作委員会」方式が使えない可能性がある)。
  2. 商品化する際、デザインや色等の変更を少なくとも原作者側が容認する必要がある。
  3. 現在のファッション傾向に合わない「異世界ファンタジー」作品が排除されてしまう。
  4. 原作者側の「ファッションセンス」が作品自体、あるいは原作者側に対する批判に繋がる可能性がある。

あたりはクリアしなければならない。特に2は非常に重要である。相手は既に「ブランド」という一つの世界を構築している以上、どちらか合わせやすい方が歩み寄らないと実現できない。もっとも、本当に怖いのは4なのだが。

日常に、ほんの少しだけ「非日常」というスパイスを振りかける

コスプレイヤーにせよダンス愛好家にせよ子供にせよ、普段着まで「なりきり衣装」ということはまずない。それは「日常は日常」だからであり、そこから一時的に脱却して「非日常的」な状況を作り上げ、自分以外の誰かになりきることこそが本質だからである。そして「日常と非日常の区別」という観念自体、実は昔から日本人が持っている。それを指摘されたのがかの有名な民俗学者柳田國男氏である。
柳田氏は「ハレとケ」という概念をもって日本文化の変質を語っておられた。すなわち日本文化が変質した原因を過去と現在の日本を比較した上で、「折り目や節目など非日常的に行われてきた『ハレ』の行為が、日常生活である『ケ』でも行われるようになったから」と指摘された。まぁ民俗学うんぬんは私の専門外なのでここまでにしておくけれど、もしコスプレを含む広義的な「なりきり行為」が、日本人の心の根底にある「ハレとケの区別」にあるとするなら、そしてほんの少しだけその間にある垣根を下げたらどうなるのか? 垣根を下げた結果、対象層が少しでも広がればどこかで尾州織物産業とのタイアップという話も出てくるだろう。何よりも昭和31年から続く伝統行事に「コスプレパレード」という「非日常」を持ち込んだ一宮市は、業界内で先駆者として認識されることになるだろう……という妄想はとりあえずどこか遠くに放り投げておく。
つまらない日常にほんの少しだけ振りかける、「非日常」というスパイス。それを欲しがっている人は結構多いと思う。でもその実現には労力と時間、そして資金が必要だ。ならばその一部を少し余分にお金を出せば手の届くところで、まぁ敢えて付け加えるなら「出版社にもほんの少しだけ『生き残り策』という旨み付きで」……などとまたまた変なオチを付けたところで本日はお開き。さて、11月の開設が諸事情により延期となった「TRIANGLE138」なのだけれど、この前行ったら「平成25年2月よりAkiba.TV一宮支局の公開生放送スタート!」と張り紙がしてあって、でもHPには何も載ってないんですよね。この情報、信用していいものかどうか……。ああ、それともう一つ。一宮商工会議所とこの「TRIANGLE138」は関係ないそうです。となると運営元は独立系?

*1:http://kaleido-rash.sblo.jp/article/57946614.htmlhttp://kaleido-rash.sblo.jp/article/57954749.htmlまで全6回(金山駅前・女性コスプレイヤー専用スタジオ「スタジオ カレイド」オフィシャルブログ)

*2:であってるのかどうか。女性物はよく分からない