テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

今一度冷静になって、萌えキャラ利用の街興し策について考えてみる

お知らせ〉羽後町で行ってまいりました「かがり美少女イラストコンテスト」ですが、今年は開催いたしません。作品のご応募は受付けておりません。楽しみにしてくだっていた皆様には申し訳ありませんが、ご理解の程よろしくお願いします。
立案者である山内貴範氏のtwitter 2012年6月7日6時57分のツイート

という話からあと数日で4ヶ月になろうとしている。羽後町には一度行かなきゃならんなと思っていたのだが、行く前に終わってしまったようだ。
私は今になって思う。みんな揃って何やってんでしょうね。

「かがり美少女イラストコンテスト」は2年目から破綻していた可能性あり

冷静になって考えてみれば、「かがり美少女イラストコンテスト」は何もかもがおかしいのである。
一つは目標設定である。元・羽後町長、さとう正一郎氏のブログには、当初の目標は「西馬音内盆踊り」のイメージキャラクターを作ることだったと書いてある*1。これが本当にそうだったとすると、第一回目が終わった後、決定したキャラクターをどう動かすか、具体的に言うと「いつ、どんな形で利用するか」を決めるべきだった。ところが実際には二回目以降も開かれた。これではスタッフは主催者の意図を理解できず、付いていかなくなる。
もう一つは組織そのものである。公式発表がなぜ言いだしっぺである山内氏のブログ? 開催のための資金捻出が難しい? 町は? 観光協会は? 察するに、町議会とか観光協会とかは第一回目から冷ややかな目で見ていた可能性がある。舞台の上で踊っていたのは当時の町長と山内氏(と私を含む一部の虹ヲタ)だけ。地域住民も付いてきていない可能性が高い。
ではなぜみんな冷ややかな眼で見ていたのか。恐らくその効果を疑問視していたのだろう。

地域社会への貢献度が「萌えキャラによる街興し」の成否を握る

だいたい、地元住民に認知されるためにはそれが「身近なもの」になる必要がある。例えば地域で行われる祭り。長年ずっと続けられてきたはずだ。住民にとってそれは一種の歳時記的な存在となり、そして志ある者はその祭りに参加したいと思うようになる。それが無形あるいは有形文化財ならなおさらの話。
では「萌えキャラ」の場合は? 萌えキャラには地域との歴史的・文化的な繋がりはない。あくまでも「外」から持ち込まれた存在だ。それを住民の間に認知させるには、住民に「身近なもの」と思わせる必要がある。そしてそれを実現するには、時間をかけて実績を積み上げるしかない。実績、すなわち「地域社会発展への貢献」である。
実際、「知多娘。」がこのやり方だった。地域内でのイベント開催で実績を積み、地元では名の知られた某スーパーでライブを開催したら、今まで萌えキャラとはほぼ無関係だった名鉄との「コラボ企画」が実現し、今度は10月に行われるはんだ山車まつりでライブが開かれる。関連イベントを開けば外からファンがやってくると、山車まつり関係者は分かっている。だからやるのだ。同じことは昨年から京都で始まった「ことまきプロジェクト」(ことまきプロジェクト公式サイト:http://kotomaki.net/)にもいえる。「加茂川マコト」と出町商店街がタイアップ中だが、「加茂川マコト」公式ブログを読めば、最初のうちは商店街の宣伝ばかりしていたことが分かる。でもそうやって実績を作らないと萌えキャラなんて地域に浸透しない。

「萌えキャラ作ってパッケージに貼り付けて」で客が来る時代はとっくの昔に終わったのだよ、諸君……って威張ったこと言える立場なのかな、俺。

*1:「かがり美少女」イラストコンテスト : さとう正一郎日記 「元気な秋田」を創造しよう!!」(さとう正一郎日記 「元気な秋田」を創造しよう!! 2007年5月8日付