テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

現職の長野県知事は未だに「及び腰」?

書き出しかけて、記事ソースが中日新聞公式サイトにないことに気づく、バカ。

今日付け中日新聞社会面で囲み記事扱いだが、民主党長野県連が改めてBルートでのリニア新幹線建設を訴えていくと表明したことが伝えられた。しかし一方、県知事の方は
「(政府は)民間のことには一切関わらず、という態度を取るかもしれない」
と、事態の推移を見守る考えを示した。


……って書き出して、表現がものすごく変であることに気づき、改めて中日新聞公式サイト上で記事を検索してみた。けれどこれがなぜか見つけることができない。「民主党長野県連」をキーワードにして探したが、引っかかるのは民主党長野県連が開いた7月4日の定期大会のことばかり。間違えてると大変なことになるんで、検索サイト経由で来られた方、すみませんがひとまず上記の書き出しは脳内あぼーんしといてくださいorz。

我田引水か、それとも県全体の発展を願っているのか?

記事を探している途中で、信濃毎日新聞公式サイトにこんな記事が掲載されていることに気づいた。

 上伊那地方の8市町村や経済団体でつくるリニア中央エクスプレス建設促進上伊那地区期成同盟会は3日、伊那市内で総会を開き、諏訪・伊那谷回りのBルートによるリニア計画の早期実現を目指し積極的に運動を展開すると、あらためて決議した。6月定例会でBルート推進の決議を見送った県会に対し決議をするよう要望することも決めた。
「上伊那のリニア同盟会 Bルート推進あらためて決議」信濃毎日新聞2009年9月4日付

記事の最後には、伊那市長が席上でこうあいさつしたと書いてある。

 小坂樫男会長(伊那市長)はあいさつで「リニアは国家プロジェクトなのに、JRには沿線の地域振興の視点が欠けている」と批判。「東海道新幹線は利用者が減っている。JRはこのまま自己負担で計画を進めて大丈夫か、疑問に感じる」とも述べた。

とは言っているが、それ以前に県民はどう思っているかちゃんとアンケートを取れ、と一言。中日新聞の県民調査にしたって、ルートと中間駅についての設問は、県全体ではCルートが37%、Bルートが24%、Aルートが13%、そして「分からない」が27%もあった、との結果が出ている。また諏訪市を含む4区での調査結果でも、諏訪市に駅が置かれないのにCルートを推す回答が34%もあったそうだ。この辺はもりくち氏が既に書いておられる話なのでこれ以上はしないが、恐らく今も状況は劇的には変わっていないのではないか?

だから、Cルートにしたい理由を県民に対して説明しろって、JR東海

 リニア中央新幹線計画をめぐる問題で、県は1日、松本市中央公民館で県内5地区の期成同盟会を対象とした合同説明会を開いた。説明会にはJR東海の宇野護執行役員らが出席し、工事費試算の考え方などを示した。
「JR側が工事費試算の考え方示す 松本でリニア説明会」中日新聞2009年9月2日付配信)

JR側がこの時に各期成同盟会向けに提示した工事費試算の考え方は以下の通り。

  • Cルート:キロ当たり工事費の単価は高いが、距離は短い。年間維持運営費は安い。
  • Bルート:キロ当たり工事費の単価は安いが、距離は長い。年間維持運営費は高い。

だいたい、この工事費試算の後に公表された「輸送需要量など3項目のデータ」は、現在ののぞみ「東京〜大阪」間指定席料金よりも950円も高い金額、かつ1時間辺り直行4・各駅停車1の片道5本体制で走らせた場合の試算。現行の山陽新幹線のダイヤよりも酷く、しかも各駅停車しか停まらない途中駅から利用すると無茶苦茶不便、という条件。これ、利用者はいるのか? そうなってくると、この工事費試算も「客観的」に信用していいのかどうか分からなくなってくる。
http://www.asahi.com/business/update/0721/NGY200907210009.html

もう「必要なし」でいっそのこと県民全体が拒否姿勢を示したらどうだ?

何度も繰り返すけれど、JR東海側は「造りたいけど余分な費用はかけたくない」が基本的なスタンス。だから少々無理にねじ込んででも通すつもりでいるんだろう。

JR東海は7日、リニア中央新幹線の東京―名古屋間の中間駅について、環境アセスメントの実施までに建設場所を決め、公表する方針を明らかにした。同社は25年の東京―名古屋での開業に間に合わせるため、整備計画の策定に必要な調査や地元調整を急いでおり、リニア担当の宇野護執行役員は、同日の甲府市内での地元説明会後、報道陣に「(駅の話は)それほど先のことではない」と述べた。
リニア新幹線の中間駅どこに? JR「アセス前に決定」 =アサヒ・コム2009年9月8日付)

「それほど先のことではない」って話を報道陣にしたとなると、余計に「ごり押しする気かおい」と突っ込みたくなる。さらに、だ。この会合では案の定、駅設置にかかる費用の負担について意見が出た。でもそこら辺はなぜかのらりくらり、と。

 一方、県内に1駅設置される見込みの中間駅について、場所の決定時期や費用負担についての質問が相次いだが、宇野氏は「整備計画の決定後、できるだけ速やかに発表する」「負担は(地元に)お願いしたい」と答えるにとどまった。

 峡東圏域リニア中央新幹線駅誘致推進協議会の会長を務める荻野正直・笛吹市長は「計画は順調だと感じた」と話す一方、中間駅の地元負担については「私鉄なら自分で造る。前身が国鉄なので、こういった発想になるのでは」と疑問を呈した。

 この説明会でJR東海は、中間駅の設置のためには長さ約1キロ、最大幅45メートルの平らな直線区間が必要との条件を示した。
リニア中央新幹線:JR招き説明会 駅地元負担に疑問も−−県期成同盟会 /山梨 =毎日新聞2009年9月8日付)

何度も繰り返すけれど、駅設置費用を地元自治体に求めてまで造る路線なんて、そもそも意味があるのかどうか。通過予定地の県民はよく考えるべきだろう。「前身が国鉄なので、こういった発想になるのでは」……笛吹市長の一言が辛らつだけれど、恐らくこの言葉はJR東海には届かない。でも通過予定地の県民は心に留めておくべきだ。