テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

福井鉄道は年末を乗り切ることができたらしい。

福井新聞Webサイトより、「名鉄が10億円増資、全株譲渡 福武線存続問題」
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news2/article.php?storyid=5951
(以下は上記URL上の記事ページより抜粋したもの。記事全文ではない。

福井鉄道福武線の存続問題で、筆頭株主名古屋鉄道は29日、福鉄に対して10億円の増資を行うと同時に、保有する全福鉄株を沿線の支援団体などに譲渡した。これで名鉄は福鉄との資本関係をすべて解消し、1968年の開業以来40年にわたった経営から完全に撤退した。福鉄は名実ともに「地域で守る鉄道」に生まれ変わる。

 増資は、28億円にのぼる福鉄の借入金残高を減らす支援スキームの大きな柱。福鉄が新たに発行した1株を名鉄が10億円で引き受け、その株を含めた全保有株(24万6899株)を福井、鯖江、越前3市の利用促進団体、経済団体などに1株1円で譲渡した。

 譲渡先の内訳は、福井市第三セクター「まちづくり福井」と鯖江商工会議所がそれぞれ5万株、武生商工会議所が4万株。越前市第三セクター武生駅北パーキング」が1万株。沿線3市の利用促進団体である「福井市福井鉄道福武線サポート団体協議会」「福井鉄道福武線利用促進鯖江市民会議」「越前市福武線を応援する連絡協議会」がそれぞれ3万株。残りは福鉄の村田治夫社長が引き受けた。

これでまず、名鉄福井鉄道との資本関係は切れた。社内には名鉄から出向した取締役等が残っているが、これは今後の業務をサポートするための処置。名鉄からの出向組が退任した時点で「県内2番目の『地域で守る鉄道』」誕生とすべきだが、12月29日の株式名義変更手続き完了をもって、福井鉄道」は「地域で守る鉄道」に生まれ変わったとしていいだろう。正式には年明け1月以降に「新生・福井鉄道株式会社」を祝う式典を催すのではないかと思う。まぁ、その辺はまた福井新聞Webサイトでチェックして取り上げていく。
さて、このまま福武線は残すのか残さないのか、の話だが、恐らく残すと思われる。というのも、24日に開かれた越前市議会全員説明会の席上で、村田社長が以下のように述べているからだ。

 冒頭、村田社長は「二度と経営危機を招いてはならない。安全な運行と利便性を心掛け、リピーターを増やして10年後に年間利用者数を200万人台とし、(補助金に頼らず)自立して経営できる目標を達成したい」と、あらためて決意を述べた。

 その戦略として武生新駅近くの武生駅北パーキングと提携し、駐車場を提供するなど新駅を含め、市内全駅に駐車場を確保する考えを表明した。また沿線全駅にスタンドを設け、イベントを掲載した自作パンフレットや無償貸し出しの傘を設置したり、定期的にアンケートを実施して意見を反映させたいとした。

〜「市内全駅に駐車場 福鉄村田社長、越前市会で方針説明」福井新聞Webサイトより記事抜粋
記事URL:http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news2/article.php?storyid=5916

市内全駅への駐車場設置を社長が自らの考えとして表明した以上、これは「福武線存続を社長自ら考えている」としていいと思う。ただ、駐車場を設けたはいいが利用者がいない、では本末転倒。定期利用者の確保が大きな課題になると思う。やるなら「駐車料金の割引」など利用促進のための一手が不可欠になってくるが、まぁその辺はきっと社長は分かっているだろうね。まずは「武生駅北パーキング」で実証実験といったところだろうか。
借入金残高6億円については、「事業に必要のない遊休資産を順次売却したい(同記事より)」と社長は出席者に対して表明している。が、この不況の中、その遊休資産は実質的に相当価値が目減りしているだろうと思う。「土地」なんかうまく売りさばけるんだろうかと少々心配ではある。遊休資産の売却による債務圧縮策は、あくまでも補助的なものとすべきだと思う。


絶対的に必要なのは福武線及び各バス路線の利用者数。利用者がいなければだめ。同じ福井県内で運行されているえちぜん鉄道が廃止の危機に陥ったとき、沿線市民の努力により回避され、第3セクター線として復活した。そういう実例がある以上、福井鉄道の沿線3市にも同じことができるはず。沿線3市の市民はまず利用してみること。その上で、どうするべきかを意見として福井鉄道にどんどん出していくべきだ。また沿線自治体も何か乗客獲得の起爆剤になるようなイベントを、それも沿線3市の共同企画として実行してほしい。特に福武線の利用促進策としての「共同イベント開催」はぜひ来年辺りにやって欲しい。「廃線・会社倒産」を回避するために連携する姿勢を行政側が見せれば、沿線の市民も振り向くはず。
とにかく来年。まず来年一年間を乗り切れるかどうか、それが一つの山。でもそこを越えてもまだ先にいくつもあるだろうけれど。くれぐれも「来年一杯で福武線廃止」だけはやめてくれよ、廃線テツが押し寄せて、フラッシュたかれてそれで終わりだから。