テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

今年は「ポートラム」以外は取れない。

社団法人日本サインデザイン協会(SDA)が毎年商業サインデザインを審査する、SDA賞。その大賞に「富山ライトレール富山港線トータルデザイン)」が選ばれた。デザイン設計は株式会社GK設計。現在、その受賞デザインのパネル展示が「ナディアパーク」内「名古屋デザインミュージアム無料展示スペース」にて開かれている。
他を抜いての受賞となった理由は、

  • ロゴデザインなどだけではなく、車両のカラーリングや電停も含めて総合的にデザイン設計をしたこと。
  • 「市民参加のデザイン」という新たな要素を加えたこと。

まずは、行けば否応でも目立つ独特の車体カラーリング。こんな先進的なカラーリングは恐らくここが初めてだろう。電停も富山港の情景を連想させる「マスト」をデザインの元とし、低床型車両の導入に合わせ、電停のホームも低く造り直している。
そして何よりも驚かされるのは、駅命名権の公募と、駅広告を「駅を個性化するためのスペース」として考え、各企業からの協賛を募ったこと。これにより無機質な従来の電停イメージが消え、地元に密着した形の電停へと変化した。企業にとっても自社の大々的な広告が打てる分、企業イメージも向上するのは間違いない。地元・愛知県の豊橋鉄道でもこんな電停の造り方はしていないし、岡山電気軌道の電停もこんな感じではなかった。
制服も夏服・冬服ともに従来とは違うというイメージを持たせた形になっていて、これまたよろしい。特に帽子がいいのだ、帽子が。乗った人なら、乗務員が被るあの帽子が真っ先に目に付いたことだろう。敢えて苦言を通すなら、夏服がよろしくない。「PORTRAM」のロゴを印刷した揃いのTシャツで業務に就いてくれれば、これまたおもしろい話題を地元新聞等に提供できたかと思う。
富山ライトレールが示してくれたのは、「デザインを考えることも乗客獲得の方法のひとつ」ということ。鉄道もバスも利用者が増えてこそ成り立つもの。そのために何ができるか? パネル展示を見て、なるほど、と思った。
今後の都市型路面電車(ライトレール)開業に大きな影響を与えるだろう。