テツモグラはいつももがいてます

はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

全国紙ではそこまで書いてない

茨城新聞Webサイトより、2008年11月12日付け記事。
URL:http://www.ibaraki-np.co.jp/47news/20081112_01.htm

茨城交通が再生法申請 負債66億円、運行は継続」
2008/11/12(水) 本紙朝刊 総合1面 A版 1頁

「利用減、燃料高も」
 県内を中心に路線バスやホテル業などを展開する茨城交通(本社水戸市、竹内順一社長)は十一日、利用客の減少に加え燃料費の高騰による経営環境の悪化から私的整理による再建を断念し、水戸地裁民事再生法の適用を申請した。負債総額は六十五億九千五百三十万円。路線バス運行など事業は継続し、同業種のスポンサー支援を得るため、現在協議中という。四カ月後をめどにスポンサー支援を軸とした再生計画を策定、再建を図る意向だ。

 同社は二〇〇五年六月、鉄道やバス事業収入の減少、不動産部門の販売不振などから経営が悪化し、中期再建計画を策定。不動産売却やタクシー事業からの撤退、茨交大洗ホテルと袋田温泉ホテルの経営統合、人件費削減などを実施した。〇六年三月、金融機関が債権の一部を放棄する私的整理による経営再建に着手していた。
 東京商工リサーチ水戸支店によると、主力銀行などの債権放棄額は九十一億円に及んだ。売上高は一九九二年三月期の百二十七億円(帝国データバンク水戸支店調べ)をピークに、〇六年三月期は四十九億四千二百万円に減少。同期に純損失二十一億六千二百万円を計上した。
 中期再建計画で不採算部門と位置付けた湊線は今年四月、ひたちなか市と共同出資した第三セクターひたちなか海浜鉄道」に営業権を譲渡した。
 茨城交通によると、〇八年三月期には四十七億五百万円の売上高、三億千九百万円の純利益を計上し、二期連続黒字となったが、借入金が年間売上高を超えるなど、「計画の数値目標にはほど遠い水準」(茨城交通)だったという。今年に入ってからは燃料費が高騰し、運賃転嫁もできずに収益を圧迫、法的な再建に頼ることにした。
 スポンサー支援について同社は、会社を分割し、株式を譲渡する方式を検討しているという。
 九月で約六十万人の利用があった現行三百九十三路線のバス事業や旅行事業は維持、茨城オート水戸市)など関連会社も営業を継続する。
 同社は「債権者と利用者に心配を掛けて申し訳ない。バス、旅行など事業は継続し、定期券も従来通り使用できるので、これまで通り利用してほしい」とコメントした。

見出し(大見出し及び小見出し)はカギ括弧で括り、茨城交通の会社概要に関する部分は原文からコピーしていない。
本題は「続きを読む」以降に。

どーなっとるんだ?

前に書いた「茨城交通」絡みの記事に対して、茨城交通関係者を名乗る方からコメントが投稿された。それによると、どうも茨城交通の経営状況はこちらが最初に想像していた「通り」だったらしい。実はその方はコメント欄に、「県の支援が受けられるのは来年3月までで、だから運行を続けている」と書いておられた。しかし「県の支援うんぬん」は上記記事のどこにも出ていない。え、県の支援は? そこで「茨城県」公式ホームページに「知事の発言内容」に関するものがないか探した。するとあった。


・「茨城県」ホームページ内「2008年11月26日知事定例記者会見の発言要旨」
http://www.pref.ibaraki.jp/hodo/press/08press/p081126.html


この記者会見で、茨城空港についてはいろいろ喋っているが、茨城交通についての質問が向けられると、何か「無難なところ」しか言っていない・・・どうもそんな感じに見える。発言内容を抜き出してみる。

共同通信の記者からの「民事再生法手続きを申請した件について、県として何か対策をするつもりはあるか」という質問に対して)
 今後,我々としては,民事再生手続きに入った後の県民の足をどうやって確保できるかということになってくるわけでございますので,できるだけバス路線の維持確保をお願いしたい。あるいは,ひたちなか海浜鉄道への出資の継続をお願いしたい。あるいは,従業員の雇用の確保についてもお願いしたいといったことを茨城交通のほうに申し入れすることにしているところでございます。それにあわせて,庁内での連絡会議の設置,あるいは市町村の連絡会議の設置などを行って対応してまいりたいと思っております。
 また,県としての支援策ということでございますが,バス部門の収支は大幅に改善してきておりますので,県としては,赤字バス路線に対する補助を継続することで再建を支援していきたいと考えております。

一番最後の段落、強調表示を加えた辺り。「赤字バス路線に対する補助を継続」と書いてあるが、「債務の肩代わりも視野に入れて」などとは一言も書いてない。債務が確定していないのか、それとも補填できるだけの税収入がないからか? さらに、

茨城放送の記者から「会社更生を進めて行く中で、不採算部門ももっと動いてくるだろうが、そうなった場合について追加の支援策は頭にあるか」の質問に対して)
今はそこまで考えておりませんが,私どもも公共交通活性化会議というものをつくって,公共交通をどうやって維持していくか,特にこれから高齢化なども進んでくる中で,自家用車だけで活動することが無理な人がたくさん出てくることが予想されますので,それにどう対応していくかということについて勉強しているところでございます。今,ご指摘のように,もし赤字バス路線がたくさん出てきた場合には,どう対応するかについて,当然,地元の市町村と一緒になって考えていく必要があるのだろうと思っております。

確かに、現時点では「様子見」するしかないかもしれない。しかし債務の額が額なだけに、極端な話だが、法人税減額とか債務保証とか、そういう話が出てこないと支援企業は現れないと思う。ところがこの2つのやり取りからは、そういった「積極的な支援策」が聞こえてこない。この知事は
「空港が開港したらあとは何もいらない。バス路線? 車に乗れない奴は茨城県民ではない、よそへ行け」
・・・などとでも思っているのかしらんww。
まあそれは冗談として、本気で県とか沿線市町村が動かないと、冗談抜きでこの会社もぶっ潰れます。後は知事を選挙で当選させた茨城県民がこの事例についてどう判断するかだよなぁ。うちの県も人のことは言ってられませんが、ある意味で。