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はてなダイアリー「鉄道旅行とは巡ること」からの移行ブログです。鉄道を含む交通機関関連がメインだけれど実際には雑多ネタ。

京都市、景観保護条例を強化

円通寺の借景が消える?

地下鉄烏丸線の終点・国際会館前駅からさらにバスで北区方向へ行き、円通寺道バス停で降りて歩くこと十数分。高い丘陵地帯(ていうか山)の中に円通寺というお寺があります。この寺の庭園は滋賀県比叡山を借景とし、一定間隔に植えられた木々の間から比叡山を眺めるという構図になっています。
ところがこの付近が都市計画道路整備の対象地域となり、それを知った業者がその沿線に高層マンションを立てる計画を公表しました。各紙は地元版でこの問題を取り上げましたが、市側がゴーサインを出してしまい、私が行った昨年のGWには、もう地ならしが進んでいる状況でした。
「借景」とは、皆さんもよくご存じの通り、外の景色をその庭園の背景として取り込むことです。外の景色を背景とするのだから、その庭園の雰囲気にそぐわないものが入るのは基本的に不可。敢えてそうするのならともかく、借景に屋上広告のネオンサインや高層ビルが入り込むなど言語道断です。円通寺の借景もそうで、遠方に見える比叡山との間に何か人工の建造物が入ればこの庭園そのものが壊されてしまうのです。
建築主はこれを知っていて計画を進めているのでしょうか?

遅すぎた決断

今月になって、ようやく京都市議会で新たな景観保護条例が可決されました。これには

  • 保護すべき景観などを指定。
  • 屋上に立てる広告を禁止。
  • ビルの高さ制限を強化。

などが盛り込まれており、
しかも違反すれば懲役刑も有り得るそうです。

しかしながら、決断が遅すぎました。
この条例が施行されても、条例の施行前に建築許可を受けた業者がマンションの設計を一から見直すとは思えません。このまま計画続行で強引にマンションを建ててしまうでしょう。また、建設中の建物に対しては拘束力がないと思います。建てたもの勝ちってわけです。
一方、規制対象地域内にあるマンション(の部屋)に住んでいる人にとっては、とんでもない事態がこの先に待ち受けています。今住んでいるマンションが新条例で定める高さの制限値を越えていると、老朽化などで建て替える事になった場合に同じ階数で建てられないのです。私は「これ」を考えたくありませんが、建て替えの際に多額の住宅ローンを抱えたまま一部の住民が出て行く、そういう事態が今後起きる可能性もあります。
不利益はマンションの住民や京都市民に全部押し付けられ、マンションを売った不動産屋や建築業者は売りっぱなしでボロ儲け。最悪の事態にならぬよう、行政側は次の一手をすぐにでも打つべきです。

京都市民にやってほしいこと

新景観条例が施行されるまで京都市民が以下のことを行えば、
新景観条例の制定を観光客にも分かってもらえると思います。

  • 京都市全域の主な観光施設・寺院・仏閣で、新景観条例が可決された事及びその内容を記したパンフレットを配る。
  • 景観保護地域に指定されたエリアでは、ここが景観保護地域であることを示すポスターか立て札を各所に立てる。「ゴミ捨て厳禁」のお願いは必須。観光ガイドがいるなら、紹介して回る際にその旨告げると効果的かと。
  • 近くに借景を取り入れた庭園を持つ寺院・仏閣があれば、景観保護地区内・外にかかわらず、借景とする景色がどの方角にあるかを示し、庭園から見た眺めと街中から見た眺めを比較してもらう。
  • マンション等の建設計画がある場所が景観保護地域内の場合は、地域の住民が連携してマンション等建設を止めるようにする。円通寺の場合、「マンション建設反対」の幟を円通寺への通り道沿いに立てるだけでも効果はあると思う。
  • 景観問題をマンションの住民のみに押し付けるのではなく、地域住民全体の問題として考え、行動していくこと。


街歩きしたわけではないんですが、ちょっと書きたくて、このカテゴリにいれました。